「共同」「協同」「協力」どれも似たような言葉です。
保育指導案や事例を書くときに、どの言葉を使うか迷いませんか?
「10の姿」で「協同性」があるので、「協同」が5歳で出てくる言葉だろうというのは分かりますよね。
じゃあ、「共同」は4歳?
「協力」は、いつ使うの?
この記事では、「共同」「協同」「協力」の意味を、具体的な子どもの姿を例に挙げて説明しています。
違いが分かると、はっきりと使い分けることができますよ。
「共同」「協同」「協力」の辞典での意味
まずは、「共同」「協同」「協力」の、辞典での意味を見てみましょう。
きょうどう【共同】の意味
k[名](スル)
- 1複数の人や団体が、同じ目的のために一緒に事を行ったり、同じ条件・資格でかかわったりすること。「共同で経営する」「共同で利用する」「三社が共同する事業」
- 2「協同」に同じ。
「協同」に同じって、書いてあります。
きょうどう【協同】の意味
[名](スル)複数の人または団体が、力を合わせて物事を行うこと。共同。「住民が協同して地域の振興に努める」「産学協同」
「協同」の意味にも、「共同」って書いてあります。
でも、ちょっと意味は違いますからね。
きょうりょく【協力】の意味
[名](スル)力を合わせて事にあたること。「協力を仰ぐ」「事業に協力する」
別々に見ると、分かりにくいですね。
一般的にも、分かりにくい言葉のようで、類語辞典にも載っています。
[使い分け]
- 【1】「共同」は、互いに同等の資格で事に関与するためにまとまること。
- 【2】「協同」は、心、力を合わせて事を行うためにまとまること。
- 【3】「協力」は、力を合わせて、努力して事に当たること。
- 【4】「提携」は、特に業務を効果的に行うためにつながりを持つことをいう。
- [対比表]
A社とB社が…して… A氏とB氏が…して… …で経営する 募金に…する 共同 ○ △ ○ - 協同 ○ ○ - - 協力 ○ ○ - ○ 提携 ○ - - -
分かりやすくなってきました。
さらに、分かりやすいように、ちょっと言い換えてみます。
- 「共同」は、同じような状態の人が、何かをするためにまとまること。
- 「協同」は、力と心を合わせて、何かをするためにまとまること。
- 「協力」は、力を合わせて何かをすること。
「共同」と「協同」は状態を、「協力」は行為を表していますね。
ということで、「協力」の使い方が分かりました。
「こんな場面で、子どもたちが、こんな風に協力していた。だから、これは協同の姿です。」というように使えますね。
「共同」「協同」の具体的な子どもの姿
「共同」は、同じような状態の人が、何かをするためにまとまることでしたね。
一般的には、「同じ条件・資格の人」ということですが、保育なので、「同じような状態」ということで考えてみましょう。
「同じような状態」というのは、たとえば、「砂場で遊んでいる子ども達」です。
砂場で遊んでいる子ども達が、砂山を作るためにまとまるのが「共同」です。
みんなでスコップを持って、それぞれの子どもが自分なりに砂を積み上げます。
「協同」は、力と心を合わせて、何かをするためにまとまることです。
「大きな山を作る」とか「山を作ってトンネルを掘って川を流す」など、共通の目標があります。
「共同」との違いは、遊び始めて少し経つと分かります。
「一緒に遊ぶ」・・・好きなように、適当に砂を運ぶ
「共同」・・・大きな山にするために、自分なりに砂を積み上げる
「協同」・・・大きな山にするために、みんなと同じように、ねらったところに砂を積む
「一緒に遊ぶ」・・・面白そうなことをしている子どものまねをする
「共同」・・・自分の思いと違うことをしている子どものことを気にする
「協同」・・・目標に向かって上手くやっている子どものまねをする
「一緒に遊ぶ」・・・飽きたら水を流すなど、気分で他のことを始める
「共同」・・・「水をかけると丈夫になる」など、知っている子どもが、みんなと違うことを始める
「協同」・・・「水をかけると丈夫になる」などということを分かって、役割を分担する
「一緒に遊ぶ」・・・全く話さない場合もあるし、遊びに関係のない、いろいろなことを話す場合もある
「共同」・・・思いやイメージを伝えながら遊ぶ
「協同」・・・目標を達成するために、関連したことを話したり相談したりしながら遊ぶ
大体こんな感じでしょうか。
「一緒に遊ぶ」が3歳で、「共同」が4歳で・・・ということではありません。
「協同」に書いた姿が全部見られないと「協同」にならない・・・というのでもありません。
あくまでも、「共同」と「協同」の違いを言葉にしてみたものとして、受け取ってください。
改めて、違いを一言で表すと、
「共同」も「協同」も、目標があるという点は同じ。
「共同」は思い思いに遊びながら、好きな遊び方で目標に向かう。
「協同」は、目標を達成することが優先で、そのために心と力を合わせる。遊び方も変える。
ということになります。
おまけ
「協働」は、同じ目的のために、協力して働くこと。
「協働」も似たような意味ですね。
働くことなので、保育で使うと違和感がありますよね。
でも、小学校では使います。
「共働」は、夫婦で働く「共働き」のこと。
これは、全く違う意味ですね。
まとめ
- 「共同」は、同じような状態の人が、何かをするためにまとまること。
- 「協同」は、力と心を合わせて、何かをするためにまとまること。
- 「協力」は、力を合わせて何かをすること。
「共同」と「協同」は状態を、「協力」は行為を表しています。
意味としては違いますが、何歳が「共同」で、何歳が「協同」で、というものではありません。
子どもの姿をよく見て、具体的に保育指導案や事例を書きましょう。
合わせて、「10の姿」(協同性)につながる具体的な姿を考えるヒントもご覧ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「もっといろいろと知りたい」という方は、