保育の記録は、支援の方法を検討したり要録などを書いたりするために後から見返すことがありますよね。でも、子どもは成長しているはずなのに、残してある言葉を見ると、年度始めと2学期や3学期の姿にあまり区別がつかないことがあります。記録するときの表現を変えると、子どもの成長がたくさん見つかりますよ。
「興味をもつ」を具体的な姿で書く
今回考えていく言葉は「興味をもつ」です。他に、「興味をもって関わっていた」「興味があるようだった」なんて書き方もあるでしょう。記録だけではなく、指導案でも「興味をもって関わる」というような表現があります。
ところが、市販の本などを見てみると、「興味をもって関わる」という表現はいろいろな箇所にあります。どの年齢でも、いろんな月に「興味をもつ」という表現がしてあるんですよ。その場限りでスペースを埋めればすむのなら、全部同じ表現でもかまいませんが、記録は後から見返して、子どもの成長したところを確認するために見ることもありますよね。実際、子どもの成長を感じているから記録に残しているはずですが、後から見たときに表現が同じだと成長を読み取ることができません。
ということで、「興味をもつ」を具体的な姿で書いていきましょう。子どものどんな姿を見たときに「ああ、これは興味をもっているんだろうな」と思いましたか?これがポイントです。記録をするときは、「○○に興味をもって関わっていた」とまとめて書かずに、興味をもっていたと判断することとなった子どもの姿を書きます。たとえば、「乳児が身の周りの物事に興味をもっている」という場合、次のような姿を見て、「興味をもっている」と判断するのではないでしょうか。
- じっと見る
- 音のするほうを向く
- 近くに行く
- 触ってみる
- 舐める
- 何度も反応する
- 口に入れる
- 叩く
実際の場面に当てはめてみると
もう少し具体的な場面を例に出しますね。たとえば、積み木があったとします。
- 積み木を「じっと見る」
- 他の子が使っていたときに音が鳴り、「音のする方を向く」
- 積み木の近くに行く
- 積み木を触ってみる
先ほどの例に4つだけ「積み木」という言葉をつけてみました。「積み木に興味があるようだった」よりも、具体的な場面が思い浮かびませんか?積み木なので、さらに、「崩す」や「投げる」などの姿もありますよね。
「何に」興味をもっているのかを具体的に書く
先ほど、「積み木」という言葉を加えるだけで、具体的な場面が思い浮かぶようになりましたよね。「何に興味をもったか」の「何」の部分を具体的に書いてみましょう。「積み木に興味をもちました」の「積み木」という部分に少し言葉を付け加えるだけで、記録はもっと分かりやすいものになります。
- A児が使っている積み木をじっと見ていた
- プラスチック製の積み木の音が鳴ったときにそちらを向いた
- ジュースのパックで作った積み木の近くに行った
- 2歳児クラスのソフト積み木に触っていた
なぜかAちゃんのときだけであれば、もしかするとAちゃんにも興味があるかもしれません。他のものではなくて、この積み木の音に興味があるかもしれません。置いてある場所が近いところだけ行くかもしれません。いつもと違うカラフルな色に反応しているかもしれません。ちょっとした言葉が加わっただけで、後から見たときに状況が分かるようになるんですよ。これらの文は、「興味をもって積み木を見ていた」と比べても、そんなに長くなってないですよね。具体的な様子が分かるような言葉を使って記録をしてみませんか?
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
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