こちらは、「保育は専門性のある仕事です!」と言っている人はいるけど、では保育の専門性とはなんだろう…をできる限り具体的に考え、実際にあった姿とつなげる記事です。「専門性とは」をまとめた記事はすでにあるので、そこを詳しく知りたい人は「保育士・保育者の専門性とは?」を読んでください。では、具体的に考えていきますね。
「保育の専門性」を短くまとめると
実は、「保育の専門性」については保育所保育指針解説や幼稚園教育要領解説に書いてあるんですよ。ただ、非常に分かりづらいです。難しいのではなくて文章が長すぎて分かりづらいので勝手にまとめました。ですので、下に表したものが正解ではないです。私が覚えることができなくてまとめただけなので、正確なものは保育指針解説や教育要領解説を読んでください。
保育士・保育者の専門性とは
・一人一人に寄り添う保育
・自発的な活動としての遊びを中心とする保育
このような保育を展開し、心身の発達を促すよう援助すること。
専門的な知識に基づいて、保護者についても必要な援助をしていくこと。
また、これらのために向上し続けること
なぜこのようにまとめることができるかは、冒頭で紹介した 「保育士・保育者の専門性とは?」を読んでください。
「自発的な活動としての遊び」と「心身の発達」で子どもの行動を考える
上でまとめた、「自発的な活動としての遊び 」「心身の発達」という視点で、子どもの行動を考えてみます。今回は、食事の事例を紹介しますね。
何度も食事をひっくり返してしまう0歳児。保護者さんは本当に困っていたそうです。言い聞かせられてやめる年齢でもありません。そこで、保育士さんは「何かをひっくり返す遊びを、お風呂でやってみてはどうでしょう」というように保護者さんに伝えました。保護者さんは、言われた通りにお風呂でたくさん子どもと遊んだそうです。ほどなくして、その子どもは食事をひっくり返すことをやめ、手づかみ食べが始まりました。
この事例の場合、子どもはひっくり返す動きを発見したんですよね。「自分が手をこう動かしたら、目の前のものがひっくり返る」「やっぱりそうだよ。予想通り」「今日も動きを確認しておこう」なんて言葉で思考をしてはいないでしょうが、「こう手を動かそう」と思って、その通りに動かせること、結果、目の前の器がひっくり返ることを繰り返し楽しみながら動きを学んでいるんです。これ、子どもが自発的に遊んで、運動の機能が発達している場面ですね。
「食事中に遊んではいけません」ということも、確かに必要なことなんですけど、それはもっと大きくなってから徐々にしていけば良いことですね。この子には、発達のためにひっくり返す動きが必要だったんです。大人が困るからと単純にやめさせてすむ話ではありません。
発達の順番として、肩が動くようになり、次は肘、それから手、指…という順番でできるようになっていくそうですが、そう考えると、お風呂で十分にひっくり返す遊びをしたことで、「よし、ひっくり返す腕の動き方はお風呂でやればいいや。ご飯を食べるときには手で掴む動きを始めよう」という段階に進んだのでは…と推測できます。
改めて「保育の専門性」を考える
今回紹介した事例に登場する保育士がしたことは、「何かをひっくり返す遊びを、お風呂でやってみてはどうでしょう」と伝える。…ということです。一見してなんでもない一言のようにも思えますが、専門的な知識に基づいて、保護者にとって必要な援助をしていますよね。
「専門的な知識」と言われると難しい気もしますが、特別な理論や専門用語を使う必要はありません。知らなくても、経験が浅くても大丈夫です。目の前の子どもを見て、「どうすれば子どもにとって1番良いのだろうか」を考えていきましょう。やってみた結果、「たぶん、こういう理由で上手くいったんじゃないかな」と、この記事と同じように、誰かが理由をつけてくれます。それを知識として少しずつ積み重ねていきましょう。
専門性についてこういう具体例も書いてます。
【保育の専門性】砂場でのトラブルを肯定的に見る
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。