【3歳までに味覚は決まる】みたいな言葉を信じて頑張りすぎたり3歳を超えたからもう遅いと思ったりしなくてよい話

「子どもの好き嫌いにどう対応するか」「離乳食はどうしたら…」「給食を残させてもらえず困ります」等々、子どもの食に関しての悩みは終わりがありません。そんな中「◯歳までに好き嫌いを無くす」「味覚の発達は◯歳が…」のような言葉を見かけたので気になりました。今回は、「何歳で好き嫌いを無くす」より大事なことがあるよという話です。

子どもの味覚は何歳までに決まる?

「子どもの味覚は3歳までに決まります。だから3歳までが勝負です。それまでに好き嫌いを無くしましょう。」…みたいな話を信じると、大変なことになります。大人もそうですけど、子どもが大変です。少なくとも、「好き嫌いを無くさない子どもが悪い」なんてことにはならないように願います。

味覚の発達は3~4歳がピークだと言われているようですが、「味覚の発達のピークが3~4歳であること」と「好き嫌いを無くしましょう」は関係ありませんね。「大人になって味覚が鈍ってきた。だから、苦手だと思っていたものも先入観を捨てて食べてみましょう」だったら分かります。

また、何をもって「味覚が決まる」と言うのかは場合によって違うと思うのですが、「塩味に関しては1歳から3歳に発達する」という話(塩味を感じ始めるのは生後3~4ヶ月らしいです)と、「小さいうちは塩分に気をつけないと、大人と同じ味だとすぐに目標の摂取量を超える」「子どもの頃に減塩すると、成長しても塩分を取り過ぎない」という話あたりが混ざって、「3歳までに味覚が決まるから好き嫌いを無くさないと」という話になってしまっているのかなと推測します。

子どもの塩分摂取量と減塩の話はこちらのNHKのサイトに詳しく載っています。
【子どもの食塩摂取量】赤ちゃんから減塩して高血圧を抑える

胎児の時点で好みが分かれる

次は、「胎児の時点ですでに味の好みが分かれる」という話です。胎児はお腹の中で羊水を飲んでいるわけですが、その羊水は、お母さんが摂取する食べ物で味が変わるそうです。この話は論文を引用しますね。

妊婦にニンニクのカプセルを与えてから羊水を採取すると,成人でも識別できるほど羊水にニンニクの匂いが移行する。スペインでは乳児が母乳を欲しがらない際に,乳首にニンニクを塗布する習慣が知られているのがよい例である。

引用:味覚の形成と次世代への継承―だしの文化とアミノ酸の味―

もう少し引用します。今度は乳児の話です。

さらに,母親が食べた食物の風味は母乳に移行することも知られている。乳児は母乳に移った風味が好ましい場合には母乳を飲む量が増える。このことから,まだ離乳前の乳児でも母乳を通じて様々な風味を体験していると言える。

引用:味覚の形成と次世代への継承―だしの文化とアミノ酸の味―

これらのことから、日本人はダシの味、イタリア人はオリーブオイルの味を好むようになるんだそうです。離乳食が始まる前から、食の好みは決まっていくんですね。「だとしたら、ちょっと大きくなってから頑張っても意味無い…もう手遅れ…」ではなくてですね、好き嫌いにはもっと多くの原因がありますので、それも考えていきましょう。

この記事のタイトル通り「頑張りすぎたり3歳を超えたからもう遅いと思ったりしなくてよい話」ですので、続きも読んでみてください。

幼児期から始める食育は?

さて、胎児や乳児の時点で、すでに食の好みが分かれる子どもですが、さらにショックを受けられるかもしれないことをハッキリ言いますね。3歳までにいくら頑張って好き嫌いを無くそうとしても、3歳を過ぎたあたりから好き嫌いが増えます。5歳くらいになると、しっかり意思表示できるようになってきます。これは、「言いたいことを言葉で伝える」という点で、むしろ成長なんですよね。

【子どもの好き嫌いの傾向と理由】

①味覚による「好き嫌い」 「苦い味がするから嫌い」「すっぱいから苦手」「しょっぱすぎて食べられない」など ⇒人間に本能的に備わる危機管理能力として苦手とすることが多い
②食感による「好き嫌い」 「グニャグニャしたものがダメ」「ドロッとしたものが苦手」など
③見た目による「好き嫌い」 「見た目が気持ち悪い」「嫌いなものを連想させる見た目」など
④トラウマによる「好き嫌い」 「食べた後に気分が悪くなり、食べられなくなった」など
⑤食べる工程による「好き嫌い」 「魚の小骨を取るのが面倒だから食べたくない」「スイカのタネを取るのが面倒くさい」など
⑥その他 「お友だちが嫌いと言っていたから自分も食べない」「食べたい気分じゃない」「環境(お母さんがつくったものは拒否できる)」など

引用:子どもの好き嫌いはどうしたら克服できる?幼児期から始める食育のコツを専門家に聞いてみた

こちらは、東洋大学のサイトを引用させて頂きました。好き嫌いの傾向と理由が、非常に分かりやすく分けられています。これらを1つずつ解決していけば済む話です。➀~➂は、作り方の工夫でどうにかなることですね。④は無理強いする等、人為的なトラウマもありますので、④~⑥は食べるときの関わり方でなんとかなる場合があります。好き嫌いの原因はなんなのかを突き詰めると、なんとか対応できそうです。

引用元のサイトには対応の具体例や漫画も載っているので、そちらもぜひ見てみてください。

まとめ

「3歳までに味覚は発達する」「3歳までに好き嫌いを無くそう」のような話は、気にする必要はありません。胎児や乳児の時点で、味の好みは決まっていきますから。「◯歳までに」というのは、すでに遅いんです。もう1点、3歳までに好き嫌いが無くても、むしろ3歳から好き嫌いが増えます。短期決戦で、早いうちにやっておいたら後が楽…なんてことはありません。気長にいきましょう。

最後に、発達障害の方などに見られる感覚過敏の場合、砂を食べているように感じたり異常な吐き気を催したりするため、どんなに頑張っても食べることはできないものがあります(もちろん、人により違います)。単なる好き嫌いではありませんので、特に配慮が必要です。
感覚過敏とは?病気なの?どこに相談すればいいの?対策方法は?さまざまな疑問にお答えします。

いろんなサイトを引用して成り立っているこの記事ですが、こちらの感覚過敏の話は、感覚過敏研究所のメンバーの一人として、私がひな型を書いたものです。「保育に関する感覚過敏」については、いずれまとめていきます。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。