1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容より「人間関係」について内容に書いてあることを簡単に表し頭をスッキリさせる

あなたは保育の記録を書くときに、スラスラと書くことができていますか?苦労している人は、まずは単語1つでもいいので、何を書くのかをハッキリと表し、それからまとめていきましょう。こちらは保育塾のメルマガ「保育塾ベーシック」の試し読みとしての記事です。メルマガ風の文章でお伝えしています。

前回の振り返り

それでは、保育塾ベーシックの第31回目を開始しましょう。

保育塾ベーシックの第30回目では、1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容より「健康」について、具体的にどんな姿を記録すればよいか、内容から考えてみました。養護とそっくりになりましたね。

明確に分けて考えるのは大変なので、記録をしてしまってから、「これは5領域でいうと何になるかな」と考えた方がいい。後からまとめて見直して、「ここの部分が見えてなかったな」と思えば、次の日から見るようにすればいい。ということをお伝えしました。

正直な話、「各園の保育指導案や記録を書く用紙って、書かないといけない項目が吟味されてるのかな」と思います。吟味されているとしても、子どもが毎日バランスよく(記録用紙に書く事柄についてバランスよく)姿を見せてくれるわけがないので、偏って書いてもいいと思っています。それが許される職場であってほしいですね。

保育所保育指針の文は難しいので、記録をするときに、何について書けばよいか分からなくなってしまいます。そこで、「指針に書いてある内容を簡単に表す」ということをしています。ねらいも大事なんですが、具体的な姿が見えてこないので、内容を一言で表しています。

ただし、本当に一言で表すことができるのであれば、最初から保育所保育指針にも、解説にも、一言で表してあるはずです。保育塾ベーシックでは、分かりやすさを優先して、強引に一言で表しています。ですので、これが正解だというわけではありません。覚えやすいように、自分の言葉に直してくださいね。

前回出された課題

では第30回の課題です。

1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容より「人間関係」について、具体的にどんな姿を記録すればよいか、内容から考えてみましょう。

保育指針に書いてあることは以下の通りです。

イ 人間関係
他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。
(ア) ねらい
① 保育所での生活を楽しみ、身近な人と関わる心地よさを感じる。
② 周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする。
③ 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く。
(イ) 内容
① 保育士等や周囲の子ども等との安定した関係の中で、共に過ごす心地よさを感じる。
② 保育士等の受容的・応答的な関わりの中で、欲求を適切に満たし、安定感をもって過ごす。
③ 身の回りに様々な人がいることに気付き、徐々に他の子どもと関わりをもって遊ぶ。
④ 保育士等の仲立ちにより、他の子どもとの関わり方を少しずつ身につける。
⑤ 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりがあることや、その大切さに気付く。
⑥ 生活や遊びの中で、年長児や保育士等の真似をしたり、ごっこ遊びを楽しんだりする。

引用:保育所保育指針

「人間関係」について内容に書いてあることを簡単にまとめると

10分ほどでいいので、まずは考えてみましょう。内容が①~⑥までなので、6分で考えることができたら100点です。分からなくてもいいんです。集中して考えてみましょう。では、私も6分で、何について記録するかが具体的に分かるように書きますね。

① 保育士等や周囲の子ども等との安定した関係の中で、共に過ごす心地よさを感じる。
→親しい人たちと一緒にいようとする姿

これは、後で詳しく説明します。

② 保育士等の受容的・応答的な関わりの中で、欲求を適切に満たし、安定感をもって過ごす。
→保育士等の受容的・応答的な関わりと、子どもが笑顔や穏やかな顔で過ごしているか

③ 身の回りに様々な人がいることに気付き、徐々に他の子どもと関わりをもって遊ぶ。
→他の子どもとの関わり方

④ 保育士等の仲立ちにより、他の子どもとの関わり方を少しずつ身につける。
→他の子どもと実際どう関わったかと、どう仲立ちしたか

⑤ 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりがあることや、その大切さに気付く。
→日々の生活における決まりや約束事に関わる姿

⑥ 生活や遊びの中で、年長児や保育士等の真似をしたり、ごっこ遊びを楽しんだりする。
→年長や保育士等と同じことをしたがる姿

6分と言いながら8分かかりましたが(笑)…アバウトでいいんです。論文でもないので、「そのうちできる」くらいでいいんです。子どもの姿をしっかり見て記録をするのが大事です。文の細かい表現にこだわりすぎると疲れてしまいます。

➀~⑥をこのように表した理由

➀は置いといて、まず、②の理由から書いていきますね。

②の「安定感をもって」は、前回の内容①で説明したので、前回を参考にしてください。
保育塾ベーシック(第30回)1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容より「健康」について、具体的にどんな姿を記録すればよいか、内容を簡単に表す

③と④は続きですね。「少しずつ、周りの子どもと遊ぶようになっていき、保育士等の働きかけのもと、関わり方を身に付けていく」というようになっていきます。⑤は分かりやすいので省略するとして、⑥は、直接人と関わらなくても、他の人のしているのと同じことをしたかったらいいんです。「他の人に興味をもっている」ということになりますから。

さて、改めて①を見ていきましょう。➀については、「後から詳しく」と書きましたが、自分で考える時も、時間がかかる部分はどんどん後回しにして、全体を考えるようにしましょう。なぜ、①は「後から詳しく」なのかというと、

① 保育士等や周囲の子ども等との安定した関係の中で、共に過ごす心地よさを感じる。

引用:保育所保育指針

の中の「心地よさを感じる」というのは、心の中のことであって、具体的な姿としては見えてきにくいからです。具体的に見えないものを説明するのは時間がかかります。保育所保育指針解説には、

保育士等は、子ども一人一人の内面に思いを寄せ、保育所の生活の何に心地よさを感じているのか理解しようとすることが大切である。

引用:保育所保育指針解説

子どもが、保育所の生活を通して、周囲の人と共に過ごす心地よさを感じるためには、まず保育士等がこうした子ども一人一人の状況をよく捉え、その思いを受け入れながら関わっていくことが大切である。 

引用:保育所保育指針解説

と書いてあります。

ここから、保育士等のするべきことは分かります。「子ども一人一人の内面に思いを寄せ、保育所の生活の何に心地よさを感じているのか理解しようとする」「一人一人の状況をよく捉え、その思いを受け入れながら関わっていくことが大切である。」ということです。

ブログの記事「【辞書より詳しい】保育用語の意味・関係・違い・使い方(その1)」で書いていますが、「受け止める」と「受け入れる」は違います。

「気持ちは分かったよ。でもこうだからね。」が「受け止める」
「気持ちは分かったよ。じゃああなたの希望を叶えるね」が「受け入れる」

今回の場合は「受け入れる」の方が書いてあります。子どもの思いを全面的に叶えていくことで、子どもは周りの人を信頼していくんですね。

さて、保育者がどうすればいいのかは分かりましたが、心地よさを感じている子どもの姿は書いてありません。ですので、「共に過ごす心地よさを感じる。→一緒にいたいと思う。→実際そばにいる。近くに寄ってくる。」…というようになるという私なりの考えで、「➀親しい人たちと一緒にいようとする姿」としています。

まとめと記録の例

まとめて書くと
①親しい人たちと一緒にいようとする姿
②笑顔や穏やかな顔で過ごしているか
③④他の子どもとの関わり方
⑤日々の生活における決まりや約束事に関わる姿
⑥年長や保育士等と同じことをしたがる姿

これらを記録していきましょう。

・登園時、不安そうな表情だったが、担任を見つけると笑顔になり、そばに寄ってきた(①②)。担任にくっついているA児を(おそらく)どかそうと手を出してきたので、「AちゃんもBちゃんも大好きだよ」と伝え、A児とは反対側の手で抱っこした(③④)。

・年長の砂場遊びを見て同じように遊びたがり、そばに落ちているスコップを取ろうとしたので、「使わせてね」と代弁して、年長児の横で並んで遊んだ(⑤⑥)。

以前からお伝えしてますが、

とにかく子どもの姿をありのままに記録して、後から「これは5領域で言うと何になるかな」と考えるくらいでいいんです。後からまとめて見直して「自分は5領域の健康についてばかり書いているな」ということであれば、今後、他のことも見るようにすればいいだけです。

今回の課題

では第31回目の課題です。

1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容より「環境」について、具体的にどんな姿を記録すればよいか、内容から考えてみましょう。

保育指針に書いてあることは以下の通りです。

ウ 身近な環境との関わりに関する領域「環境」
周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。
(ア)ねらい
① 身近な環境に親しみ、触れ合う中で、様々なものに興味や関心をもつ。
② 様々なものに関わる中で、発見を楽しんだり、考えたりしようとする。
③ 見る、聞く、触るなどの経験を通して、感覚の働きを豊かにする。
(イ)内容
① 安全で活動しやすい環境での探索活動等を通して、見る、聞く、触れる、嗅ぐ、味わうなどの感覚の働きを豊かにする。
② 玩具、絵本、遊具などに興味をもち、それらを使った遊びを楽しむ。
③ 身の回りの物に触れる中で、形、色、大きさ、量などの物の性質や仕組みに気付く。
④ 自分の物と人の物の区別や、場所的感覚など、環境を捉える感覚が育つ。
⑤ 身近な生き物に気付き、親しみをもつ。
⑥ 近隣の生活や季節の行事などに興味や関心をもつ。

引用:保育所保育指針

お決まりの一言ですが、10分ほど集中して考えましょう。

「感覚が育つ」とか「親しみをもつ」「興味や関心をもつ」って、具体的にはどんな姿なんでしょうね。あきらかに10分では足りない気もしますが、分からないなら途中でやめてしまいましょう。疲れますから。

「どういうことだろうな」と、疑問をもつことが大切で、すぐに答えがでなくても、必ず学びにつながっています。そのうち、思考する習慣がつきます。継続しましょう。

今回の課題については、保育塾ベーシック(第32回)で詳しく考えていきます。


ここまでが、保育塾ベーシックの第31回目の内容です。
保育塾ベーシックでは、「子どもをどう見取るか」ということを20回ほど、記録についても20回ほど、その後、ねらい及び内容、援助、要録と、それぞれ20回に分け、3日に1度メルマガでお届けしています。無料です。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。