「振り返りがうまくいかない」
「話し合いをしても参加しない子どもがいる」
「どんなやり方で話し合うのか分からない」
こんな悩みをもっている人はいませんか?
この記事には、保育の現場での「話し合い」「伝え合い」について、「どんな風にするか、もう一度考えてみよう」ということが書いてあります。
あなたがどんな「話し合い」「伝え合い」をしてきて、これからどうするか、考えながら読んでくださいね。
基本は「話し合い」じゃなくて「伝え合い」
「話し合い」って難しいんです。
保育所保育指針を見てみると、「話し合い」という言葉ではなくて、「伝え合い」という言葉で書いてあります。保育所保育指針解説には「話し合い」という言葉が出てきますが、半分以上は職員の「話し合い」についてです。
「伝え合い」とは
「伝え合い」は「言葉で伝えることと、話を聞くこと」です。
言葉による伝え合いは、領域「言葉」などで示されているように、身近な親しい人との関わりや、絵本や物語に親しむ中で、様々な言葉や表現を身に付け、自分が経験したことや考えたことなどを言葉で表現し、 相手の話に興味をもって聞くことなどを通して、育まれていく。
出典:保育所保育指針解説
・Aちゃんが「自分の気持ちや考えを伝える」
・Bちゃんも「自分の気持ちや考えを伝える」
・互いに相手の話を聞く
これが「伝え合い」です。
とにかく、自分の思っていることや好みを伝えればいいんです。
主観的です。
「話し合い」とは
「話し合い」とは「相談すること」です。
「どうする?」
「これでいいんじゃない?」
「いや、ちょっと待ってよ、やっぱりダメでしょ。」
「でも最初のだと、ここが上手くいかないでしょ。」
「なんで?」
「だって、こっちから来たときに、ここで失敗するんじゃないの?」
「それは、こうすればできるでしょ。」
というように、話が進みますよね。
「話し合い」は、思っていることを伝えるだけではないです。
「ある物事についてどうするか」を、なんらかの結論を出そうとして話を進めていかないといけません。
客観的な視点をもって意見を述べる必要があります。
大人でも、会議のときに主観的な好みを言うだけの人がいますよね。そうすると、「話し合い」にならないので会議が上手く進みません。それどころか、人の話を聞いていなくて、「伝え合い」にすらなっていないこともあります。
会議を上手く進める方法は
【鍵は司会にアリ】会議の時間を劇的に短縮する3つの場面設定と司会の言葉
をご覧ください。
「話し合い」は、人数が多くなると、もっと難しくなります。
大人でも、人数が多いと、上手くいかなかったり話せない人がいたりします。
子どもならなおさら難しいですよね。
いつ頃「話し合い」をすればいいのか
難しいのは分かりますが、子ども達にも「話し合い」は必要です。
幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説 を読むと、ほぼ答えが載っています。
友達と共通の目的をもって継続した遊びを展開する協同的な活動では、 こうした活動を振り返る話し合いやそれぞれの取組の情報を交換する場の確保は不可欠である。
出典:幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説
「協同的な活動では」と書いてありますね。
「話し合い」が不可欠なのは、協同的な活動をするようになった頃ということです。大体、年長の途中からですね。それまでに話し合いをしても、上手くいかないはずです。
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幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説には、続けて次のように書いてあります。
ただし、学級全体の話し合いについては、型どおりに行われるのではなく 園児の必要感を伴ったものであることが大切である。また、話し合いへの参加には、個人差が大きいことにも留意する必要がある。幼児期の終わりの時期であっても、必ずしも一様にできるわけではない。積極的に話し合いに参加し、自分の思いや考えを話しながら、保育教諭等や他の園児と共に遊びや生活の中で見通しをもったり、振り返ったりする園児がいる一方で、学級全体で話題にしていることにあまり関心を示さない園児もいる。
出典:幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説
分かりやすいように、色をつけさせてもらいました。
幼児期の終わりの時期ですら、学級全体の話し合いは、みんなができるわけじゃないんです。
「話し合い」は、年少、年中でするのは無理があり、年長でもなかなか難しいということになります。
ということは、それまでは「伝え合い」がメインです。
具体的に「伝え合い」「話し合い」をどうするか
じゃあ、結局、どうやって「伝え合い」「話し合い」をするんでしょう。
- 「伝え合い」「話し合い」を実のあるものにする
- 全員で「伝え合い」「話し合い」をする
この2つを分けて考えましょう。
「伝え合い」「話し合い」を実のあるものにするために
「伝え合い」「話し合い」を実のあるものにするために、参加する人数を考えてみましょう。
- 当事者だけで伝え合う
- 共通の目的や問題に対して、必要感をもった子どもだけで話し合う
ということが考えられます。
- グループの名前を決めるときに、それぞれの考えを伝え合う。
- いざこざが起ったときに、互いに気持ちを伝え合う。
- 遊びの中で、上手くいかないことをどうすればいいか、その場にいる数人で話し合う。
- リレーのチームで、速く走るために、走る順番をどうするか話し合う。
こんな感じで、少人数だと「伝え合い」「話し合い」になります。
全員で「伝え合い」「話し合い」をするために
「伝え合い」「話し合い」にあまり関心を示さない子どもが興味をもてる話題を取り上げる
ということを考えてみましょう。自分にとって関心のあることなら、参加しやすいです。
学級で「伝え合い」「話し合い」をしているときに、その場にいることができず、なんとなく違うことをしている子どもがいますよね。そんな子どもでも、「伝え合い」「話し合い」に参加することはできます。
その子どもが絵本を広げているなら、集まる場を本棚の前にしてしまえばいいんです。その子に話を振れば、「伝え合い」「話し合い」に参加できます。子どもが工作を始めたなら、工作するスペースに場を移せばいいんです。
「みんなと一緒にいたくない」という場合は別です。
そんなときは、その子どもが、
みんなの方を少しでも見ているときに、「気持ちが向いていること」を褒めましょう。
反対に、一緒の場にいても、座っているだけで全然気持ちが向いていない子どももいますよね。
まとめ
「話し合い」って難しいです。
基本的には「伝え合い」をしましょう。
「話し合い」が特に必要なのは、協同的な活動をする頃になってから。
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年長の途中からですよね。
「話し合い」や「振り返り」が難しいと感じている人は、「話し合い」や「振り返り」をするのが早過ぎるかもしれませんよ。また、「伝え合い」も、全員ですることは難しいですよね。少人数ですることを考えましょう。
具体的には、
- 当事者だけで伝え合う
- 共通の目的や問題に対して、必要感をもった子どもだけで話し合う
- 「伝え合い」「話し合い」にあまり関心を示さない子どもが興味をもてる話題を取り上げる
ということを考えてみましょう。
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