「5領域と10の姿はどう関係してるのか分からない」「保育課程は10の姿で見直すの?」「要録にどう書いていいか分からない」というような質問がよくあります。まだ迷ってる人、困っている人が、たくさんいるようです。
今回は、「5領域」と「10の姿」の意味、違い、関係を、超簡単に一言で説明します。
「5領域」と「10の姿」の意味、違い、関係を一言で表すと
「5領域」「10の姿」の意味
5領域 ねらいを5つに分類したもの
10の姿 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
「そんなこと分かってる」と言われそうですが・・・続けて読んでください。
「5領域」「10の姿」の違い、関係
山登りで考えると・・・
5領域(ねらい)
目印。道の途中に立っている「1合目」「2合目」の看板。
10の姿(幼児期の終わりまでに育ってほしい姿)
山の頂上。
ダイエットで考えると・・・
5領域(ねらい)
具体的な目標(「夏までに3キロ落とす」「ちょっとだけ筋肉つけてしぼる」)
10の姿(幼児期の終わりまでに育ってほしい姿)
理想(「ローラみたいになりたい」「私は佐々木希かな」)
「10の姿」を考えると難しくなる理由
10の姿は遠いところにあるんです。
保育所保育指針解説にも、次のように書いてあります。
特に卒園を迎える年度の後半に見られるようになる姿である。
(中略)
実際の指導では、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が到達すべき目標ではないことや、個別に取り出されて指導されるものではないことに十分留意する必要がある。
出典:保育所保育指針解説
※幼稚園教育要領解説、幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説にも同じように書いてあります。
「卒園を迎える年度の後半」ですよ。
しかも「到達すべき目標ではない」んですよ。
「山の頂上まで登るには、2歳だと何をするべきか」と考えると難しくなりますよね。2歳児は、山の登り方を考えなくてもいいです。山のふもとにある公園で、散歩するくらいが調度いいです。
「10の姿」を考えるとうまくいかない理由
簡単に言うと、10の姿は「理想」なんです。
「ローラみたいになりたい」と理想を持ってダイエットを始めることは自由です。
でも、実際に目指せる人がどれだけいるでしょう?
「理想」だけだと、具体的に何をしていいか分からないんです。
そして、現実とかけ離れていると、あきらめてしまうんです。
10の姿だけ見ていても、具体的なものは浮かびません。
10の姿に近づいた、5歳児だから具体的なものが見えてきます。
5歳児でなければ5領域で考えましょう。
白梅学園大学の武藤隆教授は、次のように述べています。
一読するとお分かりになるように、10 の姿はかなりレベルが高い内容であり、5歳児終了までに100%実現することを求めるものではありません。あくまでも、「こういう姿を目指してほしい」という方向性と捉えてください。3、4歳児は5領域をベースとし、5歳児から10 の姿をイメージした保育を意識していただきたいと思います
白梅学園大学 武藤隆教授のFacebook
5歳児修了時までに育ってほしい姿として示された「10 の姿」は、従来の5領域を具体的な姿として表したもので、5領域とは別個の目標ではありません。
白梅学園大学 武藤隆教授のFacebook
子どもの姿を振り返る視点として、幼稚園でも保育所でも、「10の姿」が参考になるはずです。といっても、これをそのまま目標とする必要はありません。子どもの実態に照らして、重点を置く姿を定めたり、全く別の目標を持ったりしても良いでしょう。「10 の姿」は5歳児を想定していますが、もちろん5歳になったからといって、突然、こうした姿が表れるのではありません。3、4歳のどのような育ちが「10 の姿」につながるのかを、自園の子どもを通して考えるのも良いでしょう。
白梅学園大学 武藤隆教授のFacebook
「3、4歳のどのような育ちが「10 の姿」につながるのかを、自園の子どもを通して考えるのも良いでしょう。」 とありますが、これも今まで通り5領域で考えましょう。
5歳児以外も10の姿で表を作ってしまうと苦しくなりますよ。
今まで通りの様式で教育過程、保育課程(全体的な計画)を振り返り、「どの部分が10の姿とつながってるかな」と考えればいいんです。
要録を書くときも同じことです。今までと同じように書きましょう。書いてしまってから、「10の姿で言うと、どれになるかな」と考えればいいんです。
まとめ
5領域は「ねらい」です。
山登りだと「途中にある看板」、ダイエットだと「具体的な目標」です。
近くにあるから目指しやすいです。
10の姿は「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」です。
山登りだと「頂上」、ダイエットだと「理想」です。
10の姿は、5歳の後半で現われる姿です。5歳児になって近づけば見えてきます。しかし、それまでは見えません。頂上、理想ですから。
遠くにあるから見えづらく、どっちに行けばいいかも分かりません。
見えないものを追いかけても難しいし、苦しいです。
5歳児でないのであれば、5領域で考えましょう。
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この記事とはちょっとだけ違う言葉で説明しています。この記事を読んでも分かりにくかった人は、読んでみてください。
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