【生き物は手抜きをする】1歳児の配置基準が1:5になった場合をリンゲルマン効果と実例で考える

そこに勤務する人みんなが、それぞれ自分の力を発揮できる職場は理想かもしれませんが、なかなかそうはいかないもの。やりたくないこともやらないといけなかったり誰かが偏って仕事をたくさんかかえることになったり。そして、必ず誰かは手を抜いているんです。それも何人も。今回は無意識に手を抜いてしまうリンゲルマン効果の話です。

リンゲルマン効果とは

リンゲルマン効果とは、フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンにより提唱されました。共同作業をする人数が増えるほど、それぞれの人が作業に貢献する度合いが下がるというものです。集団になると、人は手を抜いてしまうんです。

綱引きの実験

リンゲルマンが行った実験の1つに綱引きがあります。人数が増えるほど、綱を引く強さは強くなるのですが、単純に強さが2倍、3倍にはならなかったようです。

  • 1人で引くと…
    63㎏
  • 2人で引くと…
    118㎏(1人当たりは59㎏で、1人で引いたときの93%)
  • 3人で引くと… 
    160㎏(1人当たりは53㎏で、1人で引いたときの85%)

という具合に、1人当たりが引く力が弱くなっていったんですね。さらに、4人だと77%(1人当り49㎏)、5人だと70%(1人当たり44㎏)、8人になると49%(1人当たり31㎏)で、それぞれがもっている力の半分も出さなくなってしまったようです。

保育の配置基準で考えてみると

試しに、リンゲルマンの実験で分かった割合で、1歳児を保育するときの人数配置を考えてみますね。たとえば、1:6の配置基準で子どもが22人だとすると、大人は4人必要ですね。このとき、4人なので、1人で保育をしたときの77%くらいには手を抜いています。いくら真面目に頑張り続ける人でも、ずっと100%の力を出していたら壊れてしまいます。77%くらいで調度良いかもしれませんね。

77%の力で1歳児6人を保育している人は、もし1人で100%の力を出すのであれば、7.8人を保育することができます。単純計算ですが。同じく単純計算で、大人が1人、給食の準備で抜けるとしましょう。残った3人は、1人抜けた分だけ気を張って保育をしますが、無意識に手を抜いて、85%の力で働きます。そうすると、1人当たり6.6人を保育できることになります。大人3人だと19.8人の子どもを保育することができるという計算になります。

分かりやすく四捨五入すると20人。22人の子どもがいるクラスを3人で保育すると、どんなに気を張ろうが、子ども2人分ほどは手に負えなくなってくるんです。あくまでも、単純計算ですが。

1:5だとどうなるか

では、配置基準が1:5だとどうなるか。先ほどと同じく22人の子どもがいるとしましょう。1:5なので大人は5人必要です。5人いるということは、70%くらいには手抜きをすることになるんですよね。本気でやっているつもりでも70%ほどになってしまいます。70%の力で1歳児5人を保育している人は、もし1人で100%の力を出すのであれば、7.1人を保育することができます。不思議なことに、さっきは7.8人を保育することができていたはずなのに、減ってしまいましたね。

あくまでも単純計算ですが、1:5で保育をしていると、知らず知らずのうちに相手をできる子どもの人数は減ってしまうかもしれないですね。

国の配置基準より多くの保育士がいる園では

さて、県や市で独自の配置基準を決めているところもあり、中には2倍の人数を揃えているという恵まれた環境の園もあります。そのような園はどんな感じで保育をしているのでしょうか。簡潔に言うと「園による」なんですよ。中には、4人でする綱引きを8人で同じようにやっているだけ…という園もあるようです。目の前で子どもに何かあっても、お尻に根が生えたように座ったまま動かない人ばかりになるとかね。

配置基準より多くの保育士がいる園の様子については、こちらの記事に実例を出しています。
【誰もやってないことに気づかない】傍観者効果を考慮して保育現場の人数が適正かどうかを見直してみる

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。