「○○したくない」という子どもに「やらなくていいよ」と言うのは主体性を尊重していることになるのかという話

子どもに「やりたくない」と言われたときに、「じゃあやらなくていいよ」と言って終わりにしてよいものだろうか…というような話を、ある人達と先日していました。子どもの主体性を尊重することはもちろん大事です。でも、「じゃあやらなくていいよ」とするのは安易なのではないか、尊重するからこそ他にすることがあるよね…という記事です。

「主体性とはなんぞや」については、他に記事を書いていますので、そちらをご覧ください。
保育における子どもの主体性とは

「子どもの発言を受け入れる」は「主体性を尊重する」なのか

先日、各地で講演や研修をしている人が主催される集まりで、数人で話す機会がありました。内容を詳しく話してしまうとプライバシーその他の問題があるかもしれないので、多少の変更をしてお伝えします。ざっくり簡単にまとめると、「主体性を尊重するという言葉の下で、『やらなくていいよ』と言ってしまうことがあるのではないかな」という話をしてたんですよね。

「ニンジンを食べたくない」「靴を履きたくない」「学校に行きたくない」などの、「○○したくない」という子どもの発言に対して、「分かった。じゃあやらなくていいよ。」とするのは、「子どもの発言を受け入れる」です。「主体性を尊重しているから発言を受け入れるんだ」と言う人もいると思うんですけど、では、「主体性を尊重する」の具体的な関わり方は「発言を受け入れる」の他に何があると思いますか?

子どもはその選択を望んでしているのか

たとえば、「学校に行きたくない」と言う子どもがいたとして、その発言を望んでしているかというと、そうではない場合が多いのではないでしょうか。できることなら学校に行きたいけど、行ったら辛い思いをすることになるから行かない選択をする…ということ、ありますよね。このとき、「行きたくないんだね。分かった。行かなくていいよ」と言うこと自体を否定しているわけではありません。言うこと自体は否定しませんが、そう言うことで「主体性を尊重している」となるのかなという話です。

学校に行きたくない子どものためにできること

私は以前、あるところで不登校の子ども、教室に入れない子どもの支援をしていました。子どもの状況を詳しく書くわけにはいかないので、こちらがしてきたことの話をしますね。

  • 教室、保健室以外の部屋で、子どもと話をしたり勉強を一緒にしたりする
  • 学校以外の居場所で、子どもと話をしたり勉強を一緒にしたりする
  • 家庭訪問をして子どもの側で過ごす
  • 体育館や音を出せる場所に行って運動や楽器を弾くことを楽しめるようにする
  • 受け入れてもらえる施設等を探して大人と一緒に趣味を楽しめるようにする

みたいなことをやっていました。

これで十分とは言いませんが、少なくとも、「学校に行くか行かないか」という2択ではなくて、他にできることはあります。念のためにお伝えしておきますが、「こうすると上手くいくよ」という話ではないです。

理論的ではないけど1番納得してもらえた例え話

主体性の話をする中で、具体的な例として不登校の話や運動遊びの話をしていたんですけど、先日の話で1番納得してもらえたというか、みなさんの考えがまとまったように思えたのはアサガオの例え話でした。

アサガオって、支柱が無いと地面を這うように伸びていきます。その状態でも、先端は上に向かって伸びようとしています。このとき、アサガオは望んで地面を這っているかというと、おそらくそうではないのかなと感じます。支柱があって、それでも地面を這うことを選ぶのであれば「好きでそっちを選んだのならどうぞ」なんですけど、支柱が無いから仕方なく支えになるものを求めて、横に向かって伸びているんですよね。

より上に伸ばそうと、アサガオの蔓を引っ張ることはありません。支柱やアミがあれば、アサガオは自分の意思で必要なだけ掴みながら、どんどん上に伸びていきます。支えられていることに依存して成長を止めるなんてことはありません。

アサガオの育ち方と同じようなもので、大人が子どもに対してできることは、側でいつでも支えになる準備をしておくことかなと。子どもは必要な分だけ自分で選んで支えられながら育っていきます。「いつまでも助けがあるとは限らない」と、全く手を貸さずに自分ですることを求める方法もあるでしょうが、そこには横に向かって伸びるアサガオと同じような状況の子どもも存在しているかもしれません。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。