「保育士は給料が安い」とか「他業種と比べて何万円低い」とかいう報道がありますよね。本当にそうなんでしょうか?「保育士は給料が安いから・・・」という理由で、資格を持っていても働いてない人は、もったいないですよ。
この記事では、きちんとしたデータに基づいて、「保育士の給料は本当に安いのか」ということを検証しています。「キツい割に給料安い」というイメージがある保育の仕事ですが、案外そんなことない場合もありますよ。特に、「今から保育士になってみようかな。でも給料安いって聞くし・・・」という人には、ぜひ保育士として働くことをオススメします。
「保育士の給料が低い」という記事の全部を信じてはいけない
「保育士の給料が低い」という記事を、そのまま信じてはいけません。「ネットの記事は嘘が多いから」とかいうことではないですよ。「保育士の給料が低い」という記事を信じてはいけない理由は次の2つです。
- 独自調査、または独自の算出方法を使っている場合がある
- 同等の条件で比べていない
どういうことか、詳しく説明しますね。
独自調査、または独自の算出方法を使っている場合がある
いろんな業種の給料を比較するサイトを見てみると、独自の調査や算出方法で、「保育士の給料は低い」と言っている場合があります。「我が社が独自に調査した結果、保育士の給料は他業種よりこれくらい低かったです。」とか言われても、どこをどう調査したのか分からないものを信用はできません。
厚生労働省は、賃金構造基本統計調査 という調査をしています。保育士の給料についての記事に、「参照: 賃金構造基本統計調査」「厚生労働省の調査では・・・」などと記載してある場合は安心です。
同等の条件で比べていない
賃金構造基本統計調査を参照してあっても、その記事を頭から信用してはいけない場合もあります。それは、同等の条件で比べていない場合です。
たとえば、 「保育士の給料は全産業平均より約10万円安い」という報道がありました。でも、これは保育士の給料と他産業の給料を同じ条件で比べていません。何が同じでないかというと、1つは年齢です。
賃金構造基本統計調査 では、保育士(女性36.1歳)の月給が約23万円となっています。保育士って、他産業の人たちに比べて、ちょっと若いですよね。全産業平均は、もう少し年齢層が上です。かなり大げさに言うと、父親と娘の給料を比べて、「10万円も違う!」って言ってるようなものです。保育士(女性36.1歳)に合わせて、産業平均を「35~39歳」で見ると、月給30万円程で、保育士の月給との違いは7万円くらいです。
さらに、条件をもっと同じにして比べてみましょう。産業平均を、保育所と同じ規模の「10人~99人」で「35歳~39歳」で見ると、月給は27万円になります。大企業が入っている状態で比べているから差があったんです。「高専・短大卒」も条件に加えると26万円です。大卒の人と比べているから差があったんです。あと3万円の違いは、残業代の差があります。
「やっぱり保育士は残業代が出ないから給料が安いんだよ(怒)」という人もいますよね。でも、「他産業は残業代が出ても保育士よりも3万円くらいしか多くもらえない」という見方もできます。「納期を間に合わせるために朝まで働いて、寝る間もなく8時出勤」という働き方をしている人も含めるから、平均がちょっと高くなってるんです。
さらに厳密に比べると、他産業のデータは 「35~39歳」の平均です。保育士の「36.1歳」よりも、ちょっと高いんです。だから、給料がちょっと高くなるのは当然です。
「保育士の給料は全産業平均より約10万円安い」のは、比べる条件が違うからで、条件を同じにすると、全産業平均と大体同じくらいになります。持ち帰りの仕事を無くせば、他産業よりも割が良いです。
当然、もっと高くてもいいんですけどね。
視点を変えるとお得なことが見付かります
実は、保育士は他産業よりも、むしろ高給な場合があるんです。試しに、ハローワークのサイトで、地元の保育士の求人を検索すると、「月給19万円」辺りがたくさん出てきました。高いものだと「月給23万円」です。転職サイトだと、「月給28万円」もありました。平成29年賃金構造基本統計調査の概要を見ると、20~24歳の大企業に勤める男性の月給が22万円です。保育士と同じような条件で比べるとしたら、高専・短大卒で中企業に勤める女性だと、45~54歳で月給28万円前後です。若いうちに、ちゃんとしたところを選んで保育士になると、他業種よりも高給なんです。
また、他産業では、役職につくと給料が下がる場合が多くあります。残業代がでなくなるからです。60歳を超えるようになると、他産業よりも保育士の方が高給になってきます。
あなたは「給料が安いから・・・」という理由で、保育士として働くことをためらっていませんか?だとしたら、そんな心配をする必要はありません。実際は、他産業と比べても給料が安くはありませんから。非正規雇用だったり園によって過酷な労働条件だったりすると、「キツい割に安い!」ってなりますけどね。でもそれは、どんな仕事をしたとしても、ついて回る問題です。
とにかく、自分に合った職場で働きましょう。
主な求人サイトの給料に関する記事はホント?
保育士バンク
保育士バンクの記事には、賃金構造基本統計調査を参考にした数字が載っています。「保育士の給料は本当に安いのか?」という記事もあることから、給料に関する情報、その他の情報が、正確なことが分かります。上で例に出した「月給28万円」は、保育士バンクで見付けたものです。
マイナビ保育士
マイナビ保育士に載っている給料の記事は、年代別に比較してあって分かりやすいです。国税庁のデータを参照しているという記載もあります。給料その他に関する情報は信頼できそうです。
保育士さんのお給料『年代別月収・年収アンケート』
【保育士の給与・賞与】多い? 少ない? データで見る最新(2018)夏の保育士ボーナス事情!
保育エイド
保育士エイドのサイトには、給料に関する具体的な数字は一切ありません。給料どころか、求人は全て非公開で、登録すると教えてもらえます。保育士エイドのこだわりは職場の「人間関係」。「求人票では読み取れない細部の情報まで」集めているそうです。保育エイドを運営している人たちは、保育R、保育バランスなど、他にもいくつもの転職サイトを運営しています。そこでは、給料などの条件を公開してます。全て非公開は、保育エイドへのこだわりがよく分かります。
まとめ
保育士の給料は、世間のイメージほど安くはありません。むしろ、選び方によっては、他の職業よりもかなり高くなることがあります。「給料が安いから」と、保育士になることをためらっていたあなた。ためらう必要はありません。保育の世界で楽しく働きましょう。子ども達は本当に可愛いですよ。同じ働くなら、給料も人間関係も良い職場を選んでくださいね。
あなたに合った職場を探すためにも、まずは複数の転職サイトに登録して、比較をしてみましょう。オススメの転職サイトを載せておきますので、1つずつ比べてみてくださいね。
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