保育指導案を書くときに困ることの1つが、様式の違いです。
学校で習った様式と、保育実習の時の様式と、働き始めてからの様式が、全部違います。
さらに、園長が替わって様式が変わり、市で統一しようとして変わり、一貫教育で小中学校に合わせて変わります。
いい加減にしてほしいですよね。
でも、文句ばっかり言っても仕方がありません。
様式の違いに対応していくしかないんです。
今回は、様式の違いに対応できる保育指導案の書き方をお伝えします。
なぜ保育指導案には様々な様式があるのか
保育指導案には、なぜ様々な様式があるのでしょうか。
1つ目の理由
・文科省や厚生労働省の文言が、はっきりしていない
「こうしなさい」という、はっきりした書き方はしていないですよね。
「幼稚園教育指導資料第1集 指導計画の作成と保育の展開」に載っているものも、それぞれの例で全部違います。
でも、これは、「園の実態に合わせて、最良の様式で保育指導案を作成する」という視点で考えると、様式が違っていても自然だと言えます。
2つ目の理由
・幼稚園教育要領・保育所保育指針の改訂に、ついていけない園がある
問題なのはこちらです。
幼稚園教育要領・保育所保育指針の改定に、対応できていない保育指導案を見かけます。
何十年も前のやり方を続けている園と、新しいやり方に変えている園が一緒になって、指導案の様式を統一しようとしても、できるはずがありません。
さらに、幼保連携型認定こども園教育・保育要領も関わってくるので、一層ややこしくなります。
3つ目の理由
・幼稚園教育要領・保育所保育指針に示してあることに従っていない
独自の教育理論や、小中学校の指導案に合わせてしまうと、様式が変わるのは当然です。
これらの理由があるため、保育指導案の様式を合わせること自体が無理な話だと感じられます。
無理に様式を合わせても、どこかにおかしな所が出てきてしまうでしょう。
では、どうすれば良いのでしょうか。
保育指導案を読む相手に伝わるかどうかで判断する
普段の週案や月案であれば、指導を受ける園長・所長や主任、副担任などに伝われば十分です。
様式のことも、分かった上で読んでもらえます。
公開研究会などで、たくさんの人に来てもらう場合は、いろいろな立場の人に伝わる書き方をする必要があります。
伝わりやすい保育指導案にするには、様式に関わらず、一般的な日本語を使いましょう。
どういうことか、具体的に説明していきますね。
幼稚園教育要領・保育所保育指針に載っている言葉を使う
基本は、幼稚園教育要領や保育所保育指針に載っている言葉を使いましょう。
載っていない言葉を使うと、相手にうまく伝わらないかもしれません。
漢字の表記も、幼稚園教育要領や保育所保育指針を参考にしましょう。
「子ども」と「子供」など、漢字で表すかどうかも変わります。
幼稚園教育要領では、これまでとは表記が変わって「子供」になりましたね。
でも、幼稚園教育要領では、子どものことをほとんど「幼児」と表記しています。
保育所保育指針は「子ども」です。
幼保連携型認定こども園 教育・保育要領では、「こども園」「子ども」です。
何を書いているか、分かりやすく表記する
どんな様式だとしても、何を書いてあるのかが、はっきり分からないといけません。
たとえば、子どもの姿について書く場合のことを考えてみましょう。
「前期(9月中旬~10月下旬)の子どもの姿」と「今期で期待する子どもの姿」では全く違いますよね。
「生活する姿」「発達の姿」「育ちつつある姿」など、表現が本当にいろいろあります。
とにかく、「今からこれを書きます」と、具体的に、分かりやすく書きましょう。
「生活する姿」≓「ある一定期間の過去と現在の姿」
「発達の姿」≓「育ちつつある姿」≓「現在の姿」
「今期で期待する子供の姿」≓「今期のねらい」
として説明できますね。
項目を多くするほど分かりにくくなります。
正直な話、子どもの姿は、「子どもの実態」や「幼児の実態」で統一してほしいです。
「子どもの実態」には、生活してきた姿と、育ちつつある姿を書きましょう。
その際、ねらいと内容に関連した姿を書きましょう。
というように、決めてもらうとスッキリしますよね。
分かりやすいように表記した上で、そのことについて書くのは言うまでもありません。
「今週のねらい」と書かれているのに、ねらいと内容が混ざって書かれている保育指導案もたくさんあります。
こちらの記事もご覧ください。
伝わりやすい保育指導案の書き方【ねらいと内容の違いを自信をもって説明する】
伝わりやすい保育指導案の書き方【ねらいに使うとアウトな言葉とは?】
伝わりやすい保育指導案の書き方【ねらいと内容にぴったりの言葉が思い浮かばない人へ】
「保育者の援助」と書かれているのに、説明をし過ぎて、内容がもう1回書かれている保育指導案も見かけます。
足りない部分は補足説明をする
紙面の都合で書き切れないときや、様式が決まっていて、必要なことが十分書けないときがあります。
そのときは、欄外や別紙で補足説明をしましょう。
「子どもの実態」「ねらい」「内容」「保育者の援助」しか書かせてもらえない。
どうしても「保育者の願い」が書きたいのに。
というようなときです。
研究会などでは、印刷等の関係で、数ヶ月も前に保育指導案を完成させることもあります。
そのときも、当日案を書き直して、補足資料として当日に配布します。
様式に悩むより、自由に書き直してしまいましょう。
独自の表現は使わない
園や市区町村の、独自の表現をすると、外部の人には伝わりません。
普段は何の問題もありませんが、いつも使っている言葉だと、違和感なく、外部の人にも使ってしまいます。
外部の人に分からないような、独自の表現は使わないようにしましょう。
キャッチフレーズやキーワードのような言葉を使うこともありますね。
「出合い、触れ合い、学び合い」みたいな言葉です。
これも、よほど分かりやすく定義していないと、その言葉が出てくる度に「?」が浮かびます。
どんな大御所の先生が書いたものでも、全部をそのまま参考にしない
あの有名な○○先生が、若い頃に書いた保育指導案が見付かった。
ということがあったとします。
でも、その保育指導案を、そのまま全部、参考にすることはやめましょう。
なぜなら、昔の幼稚園教育要領や保育所保育指針に即したものだからです。
何が書いてあるのかを、しっかり読んでから、必要な部分を参考にしましょう。
誰もがすぐに説明できない言葉は使わない
保育指導案を読んでいて、よく意味の分からない項目が書いてあることがあります。
そのときは、遠慮せずに、誰かに質問しましょう。
もし、はっきりと分かりやすく、意味を説明できる人がいなかったとしたら、その項目は、表現を見直す必要があります。
できた当時は最良の項目だったとしてもです。
どんなにすばらしいトレーニングのプログラムでも、間違ったやり方を続けていては効果がありませんよね。
効果が無いどころか、ケガをする危険もあります。
それと同じことです。
項目の意味が分からないまま、いくら悩んで保育指導案を書いたとしても、的外れなものになってしまいます。
その園の人が、すぐに分かりやすく説明できないことは、外部の人には理解できるはずがありません。
まとめ
伝わりやすい言葉で書くことができれば、指導案の様式は、どんなものでも問題ありません。
むしろ、統一することで無理が生じる場合があります。
とにかく、読んでもらう相手に伝わるかどうかを意識して書きましょう。
・幼稚園教育要領・保育所保育指針に載っている言葉を使う
・何を書いているか、分かりやすく表記する
・足りない部分は補足説明をする
・独自の表現は使わない
・どんな大御所の先生が書いたものでも、全部をそのまま参考にしない
・誰もがすぐに説明できない言葉は使わない
様式に惑わされることなく、子どものための保育指導案を書きましょうね。
「保育指導案の書き方をもっと詳しく教えてよ」という人は、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務経験あり。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。