まず初めに、この記事は、ある程度の経験を積んだ保育者に向けて書いてあります。
もし、あなたが働き始めたばかりの先生や実習生だとしたら、
を読んでください。
具体的なことが思い浮かんでいないと、保育者の援助はブレてしまいます。
具体的なことをしっかり考えているのに、迷ってしまう人は、続けて読んでくださいね。
あなたは普段、保育者の援助を考えるときに、何を視点にしていますか?
「子どもの姿」「ねらいや内容」「園の方針」など、視点にするものはいろいろあります。
視点にするものが、はっきりしていますか?
「ねらいと内容を書いたけど、正直よく分かってない」というのであれば、当然、保育者の援助も、はっきりしないものになってしまいます。
そんな状態でも、どのような援助をするか、考えないわけにはいきませんよね。
具体的な保育者の援助にするために、視点についても考えてみましょう。
ブレない「保育者の援助」でレベルアップをするための4つの視点とは
ブレない「保育者の援助」をするためには、その援助に一貫性があることが必要です。
そのために、次のような視点で援助を考えてみましょう。
・子どもの姿をどう見取るか
・どのような方針で保育をするか
・どのような役割で保育をするか
・どのような立ち位置で保育をするか
子どもの姿をどう見取るか
まず、子どもの姿をどう見取るかで、援助の仕方は全く変わります。
指導計画は、保育士等が一方的にある活動を子どもに与えてさせるためのものではなく、子どもの実態に基づいて、今育ちつつある子どもの様々な資質・能力を十分に引き出すためのものである。そのため、現在の子どもの育ちや内面の状態を理解することから、指導計画の作成は始まる。
保育指導案を書くとき、「子どもの育ちや内面の状態を理解すること」がスタートです。
もちろん、幼稚園でも同じです。
子どもの姿を「○」と見取ったら、それに対しての保育者の援助になります。
子どもの姿を「☆」と見取ったら、それに対しての保育者の援助になります。
当たり前のことですが、スタートが違うと援助の仕方も変わってきます。
同じ子どもの同じ場面を見ていても、保育者によって受け取り方は様々です。
見取りについては、こちらの記事も参考にしてくださいね。
どうして「戦いごっこ」になるのかを知ると対応の仕方が分かる!
どのような方針で保育をするか
子どもの姿を見取ったら、次は、ねらいと内容を考えますよね。
みんな、ねらいと内容を書くときに苦労をしています。
でも、保育者の援助に関しては、ねらいと内容がはっきり決まらなくてもブレない方法があります。
それは、「どのような方針で保育をするか」を視点にすることです。
この方針は、2つに分けることができます。
・良いところ、得意なことを伸ばす
・苦手なこと、できないことをできるようにする
この2つです。
誤解のないように言うと、これは、子どものありのままの姿を受け入れた、次の段階です。
ありのままの姿を受け入れるのは当然として、その次にどうするかというのが援助です。
良いところ、得意なことを伸ばす
自分が得意なことに対して、一から手取り足取り教えられたら、あなたはどう思いますか?
子どもでも大人でも、好きなことや得意なことには、自分で積極的に取り組んで、成長していきますよね。
「良いところ、得意なことを伸ばす」を方針にすると、保育者の援助はサポート中心となります。
苦手なこと、できないことをできるようにする
「研究会に呼ぶ講師のスケジュールを仮押さえして候補日を何日か決めておいて。」と丸投げされたら、まず困りますよね。
苦手なこと、できないことをするときには、子供も大人も不安です。
「苦手なこと、できないことをできるようにする」を方針にすると、細かく丁寧な援助が必要です。
どのような役割で保育をするか
保育をするときには、保育者は様々な役割を果たさないといけません。
親として包みこむ、年長者としてモデルになる、小さい子になりきって気持ちを代弁するなど、いろいろです。
子どもと一緒になって遊び込み、ガキ大将のように振る舞うこともあるでしょう。
幼稚園教育要領には、次のような記載があります。
その際、教師は,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない。この場合において,教師は,幼児と人やものとの関わりが重要であることを踏まえ,教材を工夫し,物的・空間的環境を構成しなければならない。また,幼児一人一人の活動の場面に応じて,様々な役割を果たし,その活動を豊かにしなければならない。
これは、「第1章 総則」の「第1 幼稚園教育の基本」の中に書いてあります。
「第1章の第1」に書いてあるということは、それだけ大事だということですよね。
その後、指導計画の作成上の留意事項として、次のような記載もあります。
幼児の主体的な活動を促すためには,教師が多様な関わりをもつことが重要であることを踏まえ,教師は,理解者,共同作業者など様々な役割を果たし,幼児の発達に必要な豊かな体験が得られるよう,活動の場面に応じて,適切な指導を行うようにすること。
保育者の援助を考えるときに、自分がどのような役割で、その援助をするかということも視点に入れましょう。
どのような立ち位置で保育をするか
役割を意識して立ち位置を考える
役割によって、保育するときの立ち位置も変わります。
先程、幼稚園教育要領から引用した文章に「共同作業者」という言葉がありました。
子供と一緒に大きな砂山を作る場合は、共同作業者ですね。
「頂上から砂をかけないと高くならないよ。」
「ほら、○○君、頑張って。」
という言い方だと、上から目線です。
共同作業者というよりは、監督ですね。
監督だとしたら、現場全体を見渡せる立ち位置にいるべきです。
共同作業者であれば、子どもと同じ目線でものを見ることができる場所にいるはずです。
砂山の下に大きな水たまりがあったとしても、そこに浸かりながら山を作ります。
水たまりからすくった砂を混ぜれば、砂山は丈夫になります。
子どもの立場でみんなに教えるのであれば、大発見なので大声になるはずです。
「みんな聞いて!ここの砂を使うと山が固くなる!」
こんな声のかけ方になるでしょう。
子どもが気付くのを待ってから、その気付きを周りに伝えるのであれば、
「本当だ!すごーい!!」
などと叫ぶはずです。
なぜ固まるかなど、余計な説明をすると場がしらけます。
共同作業者には、子どもと同じような言葉のほうが適しています。
観察者としての役割であれば、全体を見渡せる場所が良いこともあります。
子どもと同じ目線で観察すると、子どもと同じものに気付くことができます。
別の子どもと同じ目線だと、さらに違うものに気付くこともあるでしょう。
他の保育者と同じ見方をしてみるという手もあります。
立ち位置を意識して援助を見直す
「一生懸命になるあまり、周りが見えなくなってしまう」ということは、誰しも経験があるでしょう。
立ち位置を意識すると、援助や保育のあり方を見直すことにもなります。
今の保育は、一人の子供に寄り添い過ぎて、全体が見えなくなっているかもしれません。
熱心に指導をし過ぎて、保育者だけ先に行きすぎているかもしれません。
保育士等は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化などに即して保育の過程を記録するとともに、これらを踏まえ、指導計画に基づく保育の内容の見直しを行い、改善を図ること。
もちろん、幼稚園でも見直しは必要です。
ブレない保育者の援助は大事なことですが、必要であれば柔軟に見直しをしましょう。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。