部分実習の保育指導案を書くときに、多くの実習生が忘れがちなことが2つあります。
この2つのことを意識できていない実習生は、いくら悩んでも、保育指導案が書けません。もちろん、責任実習の保育指導案だって書けません。実習生だけでなく、現場の保育士・幼稚園教諭も、これを見失うと、思うように保育ができなくなります。
部分実習どころか、今後の保育全体に関わる、大事なことです。
それに比べると、保育指導案の書き方や様式などは、大したことではありません。
「保育指導案の書き方が分かりません。」
「4歳児は、この遊びができますか?」
2つの根本的なことを意識していたとしたら、こんな質問も出てこないんです。
部分実習の保育指導案を書くときに分かっておきたい根本的な2つのこととは
部分実習の保育指導案を書くときに分かっておきたい根本的なことは、次の2つです。
- 「自分がやろうと思っていること」が中心になっていないか
- 子供の気持ち、心に視点を当てているか
覚えやすいように、すごく簡単な言葉にしました。
どういうことか、具体的に説明していきますね。
「自分がやろうと思っていること」が中心になっていないか
保育指導案を書くときに、「自分がやろうと思っていること」が中心になっていないでしょうか?
部分実習だけではなくて、責任実習をするときも、現場で働くようになってからも、大事なことです。
部分実習をするときには、「これをしてみよう」ということがはっきりしていますね。だから、部分実習の時には、「自分がやろうと思ったこと」を中心にしがちです。
保育指導案を書く順番
保育指導案を書くときは、次の順番で書きます。
- 子供の実態を書く
- ねらいと内容を書く(部分実習だと、園によっては内容が省略されていることもあります)
- 何をするかを決める
- 実際にすることの中身や、環境の構成、援助を書く
自分が「これをしてみよう」と思ったことは、後から書くんです。
単純に、書く順番が決まっているからというのではありません。
子どもの実態に合った、ねらいと内容を決めて、さらに、そのねらいと内容のために、何をするかが決まるんです。
大人を遊びに誘うことを考えてみる
分かりやすいように、大人の遊びと部分実習の遊びを並べて考えてみましょう。
やりたいことが先だとこんな感じ
- ボーリングは楽しいらしい
(ボーリングゲームは、子どもたちが盛り上がる遊びらしい) - 最近気になってる人と一緒に行ってみたい
(部分実習でボーリングゲームをしよう) - あの人はボーリングを好きなのかな?
(4歳児はボーリングゲームができるかな?) - どうやって誘おうかな?
(導入はどうしたら良いかな?)
ボーリングを知らずに、最近合った人がボーリングを好きかどうかも知らずに、その人を誘えますか?
大人を誘うときも、子どもを誘うときも、大きな違いはありません。
「この遊びをしてみようと思います。」が先だと、子どものことを考えているようで考えていないことが多いです。
具体的なことが思い浮かばないまま、「これがしたい」という気持ちだけが進んでいきます。
この時点で保育指導案を書き始めるから大変なんです。
子どものことが十分に分かっていない状態で書き始めるから、一番最初から大幅な書き直しになります。
大事なのは、「相手のことを先に考える」ということです。
- 最近気になってる人はスポーツ好きらしい
(このクラスの子供たちは、勝敗のあるゲームを楽しんでしている。でも、熱くなりすぎる場面もあるな) - みんなで盛り上がる遊びに誘って、仲良くなりたい
(勝敗にこだわりすぎずにゲームを楽しんでほしい。順番も守れたらいいな) - あの人と私の共通の友達は、ボーリングが好きだから、ボーリングだったら誘いやすいかも
(何人かボーリングに行ったことがある子どもがいるみたいだから、ボーリングゲームだったら調度良いかも) - 共通の友達に頼んで、声をかけてもらおう
(ボーリングに行ったことのある子どもの話を取り上げて、導入してみるのはどうかな)
- 子どもの実態
- ねらい
- 何をするか決める
- 実際にすることの中身や環境の構成、援助
という流れになっているのが分かりましたか?
子どもの姿、見取りについて、もう一度考えてみようと思った人は、こちらをご覧ください。
どうして「戦いごっこ」になるのかを知ると対応の仕方が分かる!
子どもの気持ち、心に視点を当てているか
保育指導案を書くときに、忘れてはいけないことがもう1つあります。
それは、「子どもの気持ち、心に視点を当てているか」ということです。
保育指導案を書くときというか、保育をするときに、忘れてはいけないことです。
でも、現場で働くようになってからも、見失ってしまう時があります。
大人を遊びに誘うことを考えてみる
先ほどの、ボーリングの話を続けましょう。
初めてボーリングに行く人の気持ちになって、不安を書き上げてみます。
- どんな服で行けばいい?
- ボーリング場はどこ?
- 誰か一緒に行ってくれる?
- 車を止める場所はある?
- 受付はどうすればいい?
- 靴を借りる?どうやって?
- 誰がどのレーンで投げる?
- そもそもレーンって何?
- どのボールを使うの?
- 勝手にボールを持ってきてもいいの?
- 順番はどうなってる?
- 今投げていいの?
- どうやって投げるの?
- 全然まっすぐ投げられないんだけど
- 投げ方おかしいって笑われてない?
- これって点数取れてるの?
不安はいくらでもでてきます。
でも、ボーリングをしたことある人からすれば、「全然気にしないでいいよ。」の一言ですみますよね。とにかく楽しんで投げればいいです。ボールが後ろに向かって投げられるのも、両手で転がすのも、全部楽しいです。
これ全部、子どもも大人と同じことが言えます。不安に感じる子どもは、いろんなことが不安です。子どもは初めて体験することだらけです。
それをどうにかして、楽しく遊べるようにするのが、環境の構成であり、保育者の援助です。
並ぶ場所、順番など、細かくフォローできるように考えられているでしょうか。ゲームが成立することばかりを、子どもに求めてないでしょうか。
保育的な表現でもう一度考えてみる
さっきまで、すごく簡単に書いてきましたが、本当に大事なことです。
大事なことなので、もう一回、表現を変えて書きますね。
・子どもの気持ちになって、細やかな援助を考えよう
初めてのことは、大人も不安です。すごく丁寧に教えてほしい人がいます。でも、初めてでもあまり不安を感じない人もいます。「言い過ぎないで好きにさせてよ」と思っている人もいます。それぞれの人に合わせて、連絡や準備をしたり場を仕切ったりしますね。
それを、もっと細やかにするのが保育です。一人一人の子どものことを考えて、援助をしてくださいね。
保育者の援助についてはこちら
・子どもが楽しむこと、子どもの笑顔を大事にしよう
大人で遊びに行ったとき、フォームや姿勢を指摘されると、イラッとする人もいるでしょう。楽しむために遊んでいるのに、正論ばかりだと疲れてしまいます。
子供の遊びも同じことです。
でも、どうしても「できること」や「見映え」が気になってしまいます。現場で働くようになってからも、「できるできない」や「見映え」が優先になりがちです。
「子どもが本当に楽しんでいるか」「子どもの心が動いているか」を大事にしましょう。
子どもが本当に楽しめるようにするつもりで、保育指導案を書きましょうね。
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