あなたは、子どもが好ましくない行いをしたとき、どのような対応をしていますか?叱っていますか?それともなだめていますか?
先日、「叱るとかではなくて子どもへの具体的な対応で語りませんか」という記事を書きました。【叱るとは?】叱る派も叱らない派も同じことをしている場合があるので子どもへの具体的な対応で語ろうという提案
今回は、「暴力とか問題行動とか言われるような行いが、そもそも見られなくてもすむようにしたいよね」という話を、手が出てしまう事例をいくつかとりあげて具体的に考えてみます。
好ましくない行いが見られる前も後も大事
あなたは「魚を与えるべきでなく釣り方を教えるべきだ」という考え方を知っていますか?「お腹をすかせた人に魚を与えれば、その場で食べて無くなってしまうが、釣り方を教えれば一生食べていける」という話です。この話は、個人でビジネスを勧める人などがよく使いますが、子どもを育てる場合はちょっと違うたとえ話をした方が良いのではと思います。
私がよくするのは火事の話です。「家が燃えて助けを求めている人に、消し方を教えますか?」と聞かれたら、あなたはおそらく「それどころではない」と思うでしょう。火事になったときは、すぐに初期消火をするか、どうしようもない状態ならすぐに119番ですよね。当然、普段から火事にならないようにしておくことも大事です。
- 燃えにくい壁材や防炎カーテンの使用
- 火事にならないように気をつける
- 火事になってしまったときの対処を学ぶ
- 初期消火や119番
どれか一つだけをしておけば良いのではなくて、これらが全部必要ですよね。
「好ましくない行い」も同様です。子どもが他の子どもに手を出してしまった場合、「注意をする」「叱る」という対応は、一番最後の「初期消火や119番」に当たると思いませんか?では、他の対応はどのようなものがあるのでしょうか。
そもそも手を出す必要がない環境にする
そもそも手を出す必要がない環境であれば、いざこざは起きません。これは、子どもが気をつけることではなく、大人が考えることです。
空間的な環境を整える
ある保育所で、手を洗うときに「押した・押された」を原因とするいざこざが、よく起こっていたそうです。「押しません」「順番だよ」ということを、いくら言い聞かせても改善しないと悩んでいた保育者達。でも実は単純な話で、クラスの子ども達を2つのグループに分けて、1度に手を洗う子どもの数が減ると、「押した・押された」はほとんど無くなったそうです。
いざこざが同時発生すると、じっくり時間をかけて関わる事もできません。まずはいざこざの数を減らし、時間をかけて関わって、上手くいくようになったら再び人数を増やせば良いということが分かります。また、よけいな物が置いてないかなど、子どもが動きやすい環境であるか考えることも大事です。
子どものストレスを軽減する
引っ掻きや噛みつきが見られた時、体を張って止める人は多いだろうと思います。そもそも引っ掻きや噛みつきは、できるだけ無い方が良いですよね。ある園では、運動会前に3歳以上児の活動を優先していたところ、3歳未満児で手が出ることが増えてしまったそう。戸外で体を動かす活動をしたら、手が出ることが減ったという事例もあります。
手を出さなくてもよい方法を学ぶ
こちらは子どもが学ぶことです。もちろん、大人の関わりがあって学んでいくことなので、どのように身に付けていくかは大人次第です。
自分にとってのクールダウンを知る
これはちょっと大きくなってからの話ですね。手が出てしまったときの大人の関わりが適切だと、そのうち、手が出そうになってしまったとき、自分からその場を離れたり落ち着ける場所に行ったりと、気持ちを静める行動を取ることができるようになってきます。「どうしたら落ち着くことができるか」ということを考えられるように関わっていきましょう。
戦いごっこの加減や「ふざける」が嫌な人がいることを知る
「戦いごっこをしているだけ」と思っていても、やられる側としては嫌なことがあります。また、「ふざけてるだけ」も同様です。悪気はなくてやっている場合があるんですよね。この場合、言われないと分からないので、嫌な思いをしている相手の表情に目を向けたり気持ちを知ったりする事が必要です。また、そのような場面を職員が劇などにして見せることもあります。
戦いごっこ、他、起こった後の対応については、次の記事に詳しく書いているのでご覧ください。
戦いごっこになる前を見る!戦いのタイプ別対応の仕方
【いざこざ・言い合い・仲たがい】遊びがエスカレートしたときの対応をどうするか考える
もしあなたが保育関係者なら、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。「子どもを見取る」「記録する」「援助する」「指導案を書く」「要録を書く」ということについて、3日に1度、10分ほどのプチ研修がメールで届きます。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。