あなたは子ども達を見守るとき、具体的にどこをどんな視点で見ていますか?
保育指導案の「保育者の援助」に、多くの人が「見守る」って書きますよね。
でも、それについて質問をすると、けっこうな人が困ってしまいます。
というか、質問をすると嫌な顔をされます。
この記事では、普段は具体的に考えたことがない保育者の援助「見守る」について、具体的な場面を取り上げながら、深く考えています。
「見守る」について考えるだけでも、保育が変わってきますよ。
今回の記事は、文章としては簡単に分かるように書いてありますが、相当レベル高いです。
研修1つ分くらいの濃い内容になっています。
基本的なことが知りたい人は、コチラの記事も読んでみてください。
保育者の援助「見守る」についての質問
手元にある人は、月案や週案を取り出して見てください。
「見守る」って書いてありますか?
月案や週案に書いた「見守る」について考えてみましょう。
「見守る」についての質問その1
- 他の援助ではなく「見守る」にしたのはなぜでしょう?
「手を貸す」や、「励ます」とか「手伝う」「促す」「応援する」「一緒にする」「安全に配慮する」「声をかける」「待つ」「時間を保証する」などではなく、「見守る」にした理由はなんでしょう。
「見守る」についての質問その2
- いつまで見守りますか?
「最後まで」「安全に遊んでいけることが確認できるまで」「子どもが諦めるまで」「次のステップに進むまで」「誰かと交替するまで」「つい手を出してしまうまで(笑)」など、いつまで見守るか、自分である程度分かっていますか?
「見守る」についての質問その3
- 「見守る」の次の手は考えてありますか?
見守って上手くいったとき、見守っても思うようにいかなかったとき、次は何をしましょうか?
なぜこんな質問をするのか
なぜこんな質問をするかというと、
ここの援助が思い浮かばないな・・・「見守る」にしておこう。
という理由で「見守る」を書いている人がいるからです。
私も若い頃はそうしてました。
でも、実際は見守ってるだけではなくて、みんな色んなことをしてるんです。
その「色んなこと」を考えると、どう保育するか、どう書けばいいかが具体的に見えてきます。
「見守る」の具体的な中身
具体的な保育を考えることができるように、「見守る」がどんな意味なのか、改めて考えてみましょう。
辞書に載っている「見守る」の意味
1 無事であるように注意しながら見る。また、なりゆきを気をつけながら見る。「子供の成長を―・る」「事業の発展を―・る」
2 目を離さずにじっと見る。熟視する。凝視する。「かたずをのんで画面を―・る」
まず、「無事であるように注意しながら見る」という意味があります。
「跳び箱や鉄棒などで、安全に注意しながら子どもを見る」というときに、「見守る」が使えそうです。
そして、保育において「見守る」というときには、「なりゆきを気をつけながら見る」という場合が多いのではないでしょうか。
子どもに「見ててね。」と言われた時は「目を離さずにじっと見る」もありますね。
なぜ見守るのか
ここまで書いておいて今さらですが、なぜ見守るのでしょう?
辞書の意味を考えると分かりますね。
- 安全のため
- 子どもの発達を理解するため
- 遊びの展開を予想するため
- 働きかけの最適なタイミングを計るため
- 子どものやる気や安心のため
とりあえずこれくらいでしょうか。
2番目から4番目の3つが「なりゆきを気をつけながら見る」という意味の「見守る」です。
質問の答えと具体例
- 他の援助ではなく「見守る」にしたのはなぜでしょう?
- いつまで見守りますか?
- 「見守る」の次の手は考えてありますか?
これらの質問をすると、困って嫌な顔をされることがありますが、なぜ「見守る」にしたか分かっていたら、困ることはありません。
安全のために見守る場合
安全のためなので、全体を見るために見守ります。
何かが起こってしまいそうなときは、すぐに安全確保のために具体的に動きます。
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子どもの発達を理解するために見守る場合
子どもの発達を理解するために見守るのは、子どもの遊びに手を出す必要がない場合や、手を出すと邪魔になる場合です。
子どもが自分達で遊びこんでいるときは、その様子を見守って、子どもの発達を理解する方に力を注ぎます。
子ども達だけの力ではどうしようもないことが起こったときには、手を貸します。
遊びの展開を予想するために見守る場合
遊びの展開を予想するために見守るのは、次にどうするか、決められない場合です。
準備はいくつかしてありますが、どうなるかが分からないので、遊びに変化が出るまで見守っています。
変化が現れたら、次の働きかけをします。
働きかけの最適なタイミングを計るために見守る場合
次にどうするか決まっているけど、一番良いタイミングになるまで、見守りながら待つことがあります。
私の場合、鍋の前で待つ天ぷら職人みたいな気持ちです。
子どもの表情や言葉から、「ここだ」というときを見つけて、次の働きかけをします。
子どものやる気や安心のために見守る場合
見守っていることで、子どもがやる気になったり安心できたりします。
このときは、子どもが満足するまで見守ります。
子どもの様子を見て、手を貸すことや声をかけること、抱っこすることなどがあります。
ちょっと違う視点で見てみると
見守ることについて、ちょっと違う視点でも見てみましょう。
このサイトのホームページに「今日のきしもとさん」のコーナーが作ってありますが、きしもとたかひろさんの視点で書いた「見守る」についてです。
「どんな顔をしているか」というのが判断の基準です。
【見守る保育っていったって何すればいいの?ってときのチェックリスト(仮)】②どんな顔をしているか
どんなところに注目すればいいか、ただ見ているだけではなく意識できれば保育は深まると思うから。
字が多くなってしまいましたが、何かに役立ててもらえたら嬉しいです。 pic.twitter.com/9f2FpzKPcs
— きしもとたかひろ (@1kani1dai) January 27, 2020
まとめ
- 他の援助ではなく「見守る」にしたのはなぜでしょう?
- いつまで見守りますか?
- 「見守る」の次の手は考えてありますか?
これらの質問をすると、困って嫌な顔をする人がいます。
でも、すぐに言葉にはできなくても、案外いろんなことを考えて「見守る」をしているものです。
- 安全のため
- 子どもの発達を理解するため
- 遊びの展開を予想するため
- 働きかけの最適なタイミングを計るため
- 子どものやる気や安心のため
特に、ベテランの先生は、保育指導案に書いてなくても、当然のようにこれらをしていることがあります。
保育指導案を書くときに、言葉に表そうと思うと大変です。
書き表すことはできなくてもいいので、できるだけ具体的な場面を思い浮かべてみましょう。
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「保育指導案の書き方をもっと詳しく教えてよ」という人は、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務経験あり。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。
ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・
そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。