指導要録・保育要録の書き方で迷ったときに試したい3つのこと

指導要録・保育要録を書いているときに、書き方が分からなくて手が止まること、ありますよね。「どんなことあったかな~」って記録を見返して・・・ってやってるから、時間がかかるんです。「いい例文ないかな~」って、しっくりくる例文を探すから時間がかかるんです。

この記事では、指導要録・保育要録の書き方で迷ったときに、順番に試したいことを、シチュエーション別に紹介しています。記録を見ながら、例文を探しながら書いている人は、ぜひ他のことを試してみましょう。

指導要録・保育要録に何を書くかすでに決まっていて手が止まった場合

たとえば、「1つは友達との関わりについて書こう。もう1つは頑張ってることについて書こう。それから、追求してる姿と思考力みたいなことを書こう。」というように、漠然としててもいいので、書くことが決まっている場合です。

「で、具体的に思い出せないな」とか、「結論はどう書こうかな」って手が止まることがありますよね。そういうときは、次のことを順番に試してみましょう。

  1. 別の内容や他の子どもの要録を書く
  2. 周りの誰かに聞く
  3. 気分転換をする

やらないほうがいいこと:日々の記録を見返す

別の内容や他の子どもの要録を書く

たとえば、1つ目の「友達との関わり」を書いているときに手が止まったら2つ目の「頑張っていること」を書きましょう。そこでも手が止まったら、3つ目を書きましょう。それでも手が止まったら、他の子どもの要録を書いてみましょう。いくら頑張っても、すぐには思い出せないことってありますよね。

要録に書くくらい大事なことなら、すぐに思い出せるはず。思い出せないということは、その子どものことが、よく見えていないんです。次の日から、本気でその子どもを見て、日を改めて書いてみましょう。

周りの誰かに聞く

手が止まったときは、悩んでないで周りの誰かに聞きましょう。フリーの先生、相担、副担、主任、園長、先輩、延長の先生など、自分が気付いていないことを知っている人は、いくらでもいます。もちろん、丸投げはダメですよ。「あとここの部分だけなんですけど・・・」と、一部分だけを具体的に聞きましょう。

「本当、大変だったよね~。」などと、思い出話を始めるのは絶対にNGです。特に、仕事をする時間より話をする時間の方が長いことに気付いていない人には、聞くのをやめましょう。

気分転換をする

しばらく要録を書いていると、集中が続かなくなって手も止まります。そのときには、何か他の作業でもして気分を変えましょう。他のことをしているうちに、不意に思い出すこともあります。

日々の記録を見返すことはやらない方がいい

要録を書くときに記録を見返すことは、できるだけやらない方がいいです。先程も言ったとおり、要録に書くくらい大事なことなら、すぐに思い出せるはず。すぐに思い出せないのであれば、その子どものことが、よく見えていないんです。ということは、時間をかけて1年分の記録を見返しても、大したことは書いてありません。まずは、本気でその子どもと向き合いましょう。最後にどうしても書けないときに記録を見返しましょう。

反対に、記録がたくさん残っている人も、見返さない方がいいです。たくさんある記録を見てしまうと、どれが大事なことなのか分からなくなります。友達関係のAという事について書こうと思っていたのに、記録ではBということが詳しく書いてあったとします。そうすると、Bを参考にしたくなってしまうんです。要録に書くことがつながらなくなります。スペースが無いのに、まとめるのも大変です。

「じゃあ、何のために記録してるの(怒)?」「保育記録を活用して書きましょうって、本に書いてあるんだけど・・・」などと思う人、いますよね。

日々の保育で記録したものは、1日の保育を振り返るときに必要です。さらに、1週間ごとにまとめます。その週を振り返り、次週の週案を書きますよね。そのために記録するんです。1ヶ月ごとに個々の記録をまとめると、月ごとの個人の成長が分かります。そのために記録するんです。

要録で参考にするのは日々の記録ではありません。日々の記録をまとめたものです。

この記事を見ている人は、おそらく、月毎や学期毎に記録をまとめていませんよね。だとしたら、記録を見返すことはしないほうがいいです。見返すのに時間がかかり過ぎるからです。見返すのは、他のことを試した後にしましょう。

何について書くか決まっていないときに手が止まった場合

書くことが決まっていないときに手が止まるのは当然です。漠然とでもいいので、まず、何について書くかを決めましょう。文にするのはそれからです。とはいえ、「何について書くとか決められない」「決めたって書けない」という人もたくさんいるでしょう。何について書くか決まらないときには、次の3つを順番に試してみましょう。

  1. 自分自身に「Aちゃんといえば?」と質問する
  2. 周りの誰かに聞く
  3. 記録を見る

やらないほうがいいこと:例文を探す

自分自身に「Aちゃんといえば?」と質問する

「思考力」とか、「道徳心」「人間関係」みたいな、難しい言葉を考える必要はありません。要録を書くときには、自分自身に「Aちゃんといえば?」と質問してみましょう。ただ、「髪型がオシャレ」とか「いっつも鼻水出てる」とか、見た目のことでは意味がないですよ。「好き嫌い多い」とか、「いっつもブロックしてる」とかを思い付いたら、それについて書けばいいんです。

「好き嫌い多い」や「いっつもブロックしてる」の、「年度初めの姿」を書いて、「どんな援助をしたか」を書いて、「今どうなってるか」を書けばいいんです。2つだけだとちょっと足りないので、あと2つくらい追加して書きましょう。それでOKです。詳しい書き方は、【1語からスタートしても書ける】指導要録・保育要録をスラスラ書く方法を読んでください。

周りの誰かに聞く

自分で思い浮かばないときは、「Aちゃんといえば?」を、周りの誰かに聞いてみましょう。要録に何を書けばいいか、具体的なことを質問されると、ちょっと重たいですよね。「私もそんなこと分からない」ってなります。「Aちゃんといえば?」くらいなら、気軽に答えてくれるはず。そこから膨らまして書いていきましょう。詳しい書き方は、【1語からスタートしても書ける】指導要録・保育要録をスラスラ書く方法を読んでください。

記録を見る

何を書くかが決まっている場合は「記録を見ないほうがいい」って言ってました。なぜなら、すぐに思い出せないようなことは、記録を見ても、大したことが書いてないからです。でも、何について書くかが決まっていないときは、大したことが書いてなくても役に立ちます。「6月18日、Aちゃん、ブランコ」しか書いてなかったとしても、「そういえば、よくブランコに乗ってたな」ということは分かります。そのことを、要録に記入する候補に入れましょう。候補をいくつか見付けて、その中から何を書くか選びましょう。詳しい書き方は、【1語からスタートしても書ける】指導要録・保育要録をスラスラ書く方法を読んでください。

例文を探すことはやらないほうがいい

何を書くかが決まっていないときは、例文を見ても意味がありません。Aちゃんのための例文ではありませんから。「文のスタートはどういう書き方をすればいいかな」などと、書き方を参考にする段階で例文を見ましょう。書き始めで悩む人は、【文のスタート・つながりで悩まない】指導要録・保育要録をスラスラ書く方法を参考にしてください。

10の姿について分からないから手が止まった場合

5歳児の場合は、10の姿のことも書きますよね。でもそれが難しくて、要録を書くときに手が止まります。手を止めて悩まないように、次の3つを順番に試してみましょう。

  1. 10の姿を全く気にせずに書く
  2. 「これが10の姿です」と言える指導要録・保育要録の書き方を読む
  3. 10の姿それぞれについての記事を読む

やらないほうがいいこと:10の姿について調べる

10の姿を全く気にせずに書く

要録を書くときには、10の姿を全く気にせずに書きましょう。書いてから、「これは10の姿で言うと、どれに当てはまるかな・・・」と、探しましょう。必ず10の姿のどれかと関連しています。

「これが10の姿です」と言える指導要録・保育要録の書き方を読む

「10の姿を全く気にせずに書く」って言われても、そんなのいいの?とためらっている人は、「これが10の姿です」と言える指導要録・保育要録の書き方を読んでください。「これが10の姿のことを書いている部分だよ」と言えるように、小学校以降につながる、育ちつつある姿を書きましょう・・・ということが、具体的に詳しく書いてあります。

10の姿それぞれについての記事を読む

「10の姿の、特に道徳性・規範意識の芽生えを中心に書きたいんだよね。」という人もいるでしょう。10の姿は、「思考力の芽生えについてはこうである」「自立心についてはこうである」というような書き方をしません。でも、「道徳性・規範意識の芽生えを中心にして、他のことも合わせて書きたい」という書き方はアリだと思います。そのようなときは、10の姿それぞれについての記事を読んでみてください。

「これが10の姿(健康な心と体)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方
「これが10の姿(自立心)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方
「これが10の姿(協同性)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方
「これが10の姿(道徳性・規範意識の芽生え)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方
「これが10の姿(社会生活との関わり)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方
「これが10の姿(思考力の芽生え)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方
「これが10の姿(自然との関わり・生命尊重)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方
「これが10の姿(数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方
「これが10の姿(言葉による伝え合い)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方
「これが10の姿(豊かな感性と表現)に関わっています」と言える指導要録・保育要録の書き方

10の姿について調べることはやらないほうがいい

要録を書けない原因が、10の姿についてよく分かっていないことだからといって、10の姿について調べることはやめましょう。調べても、余計に分からなくなるだけです。さらに書けなくなります。

個人の重点について、どう書くか分からないから手が止まった場合

個人の重点について、どのように書くか迷ったときにも手が止まります。その場合は、次のことを順番に試してみましょう。

  1. 指導上参考となる事項(保育所の場合は保育の展開と子どもの育ち)の中で1番大事な部分を個人の重点に書く
  2. 年度初めの「ねらい」を参考にする
  3. 「個人の重点」を思い付くための4つの質問を読む

やらないほうがいいこと:年度初めの「ねらい」をそのまま書く

指導上参考となる事項(保育所の場合は保育の展開と子どもの育ち)の中で1番大事な部分を個人の重点に書く

個人の重点に何を書くか思いつかないときは、指導上参考となる事項(保育所の場合は保育の展開と子どもの育ち)を書いて、その中で一番大事な部分を「個人の重点」に書きましょう。「個人の重点」には、1年を振り返って、大事にしてきたことを書きます。1年を振り返って、保育をまとめたのが指導上参考となる事項(保育の展開と子どもの育ち)。それをさらにまとめて一言で表したのが「個人の重点」だと考えましょう。詳しくは【指導要録・保育要録】1分で書ける「個人の重点」を読んでください。

年度初めの「ねらい」を参考にする

年度初めに一人ひとりの「ねらい」をたてているのであれば、その「ねらい」を参考にしましょう。年度初めにたてた「ねらい」のことは、ずっと意識しながら保育をしてますよね。ということは、1年を振り返って、大事にしてきたことと、ほぼ同じはずです。ただ、常に振り返り、見直しながら保育をしていますよね。年度当初の「ねらい」は、そのまま書くのではなくて、実際してきたことや、子どもの姿に合わせて、少し変えて書きましょう。これも、詳しくは【指導要録・保育要録】1分で書ける「個人の重点」を読んでください。

「個人の重点」を思い付くための4つの質問を読む

「個人の重点」思いつくための4つの質問は、次のとおりです。

  • 「 ずっと変わらないでいてほしいことは?」
  • 「Aちゃんといえば?」
  • 「もうちょっとこうだったらいいのに・・・。ということは?」
  • 「1番苦労したことは?」

思いついた言葉の中で、1番大事にしてきたことを、「個人の重点」っぽく書き直しましょう。「個人の重点」は、さすがに単語だけというわけにいきませんから。詳しくは、「個人の重点」を思い付くための4つの質問を読んでください。

年度初めの「ねらい」をそのまま書くことはやらないほうがいい

年度初めの「ねらい」をそのまま「個人の重点」に書くことはやらないほうがいいです。年度初めの「ねらい」をそのまま書いてしまうと、

「私は保育の見直しを一切しません。」と、公表することになります。

「ねらい」に書いたことを大事にして保育をしますよね。でも、しばらくたって振り返ってみると、「ちょっと見通しが違ったな」ということが必ずあるはずです。だから、大事にすることも、1年の間に少しずつ変わります。「個人の重点」は、1年を振り返って大事にしてきたことを書くものです。年度初めの「ねらい」をそのまま書いてはいけません。「学年の重点」は年度初めに設定したものを書きます。同じ「重点」という言葉を使わずに、分かるように書いてほしいですよね。

まとめ

要録を書いていて手が止まったら、次のことを試してみましょう。

すでに書くことが決まっていて、手が止まった場合は・・・

  1. 別の内容や他の子どもの要録を書く
  2. 周りの誰かに聞く
  3. 気分転換をする

記録をまとめたものがあれば、それを参考にします。日々の記録をまとめていないのであれば、時間がかかり過ぎるので、むしろ見ない方がいいかもしれません。

書くことが決まらずに、手が止まってしまうときは・・・

  1. 自分自身に「Aちゃんといえば?」と質問する
  2. 周りの誰かに聞く
  3. 記録を見る

例文を探しても、しっくりくるものを見付けるのには相当な時間がかかります。例文を探すのは最後の手段にしましょう。

10の姿が分からないから書けないときは・・・

  1. 10の姿を全く気にせずに書く
  2. 「これが10の姿です」と言える指導要録・保育要録の書き方を読む
  3. 10の姿それぞれについての記事を読む

「10の姿を要録にどう書くか」ということを詳しく書いた本等を探すのにも相当な時間がかかります。このサイト内の記事を参考にしてください。10の姿について考え始めると、余計に分からなくなるので、気にするのはやめましょう。

個人の重点が書けなくて手が止まったときは・・・

  1. 指導上参考となる事項(保育所の場合は保育の展開と子どもの育ち)の中で1番大事な部分を個人の重点に書く
  2. 年度初めの「ねらい」を参考にする
  3. 「個人の重点」を思い付くための4つの質問を読む

年度初めの「ねらい」をそのまま書くのはやめましょう。「個人の重点」は1年を振り返って書くものだからです。

他にも、いろいろな理由で手が止まることがありますよね。
「肯定的に書くって言われても・・・」ということで手が止まる人は肯定的な言葉で「指導要録・保育要録」を書ける3つの法則を読みましょう。


「誰が主語なのか分からないって言われても・・・」ということで手が止まる人は指導要録・保育要録の「主語が分からない問題」を解決する3つのルールを読みましょう。


「援助が上手く書けない・・・」ということで手が止まる人は指導要録・保育要録の内容と保育力をアップさせる援助の書き方を読みましょう。

この記事の中で、「参考にしてね」と言った記事は以下の通りです。

「要録の書き方をもっと詳しく教えてよ」という人は、下の画像をクリックして、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。

保育塾ベーシックの紹介

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。「もっといろいろと知りたい」という方は、ホームページや、このサイトの記事が一覧になったサイトマップをご覧ください。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。