今回は「目指せ!コードマスター」の第17回です。
「♭5」「sus4」「dim」「aug」が書いてあると、コードの音がどのようになるかを説明します。
セットの方が覚えやすいので、まとめてみました。
それから、前回の「うれしいひなまつり」で、「日本の曲は、もともと長調や短調ではないという説明をする」と宣言したので、それについても説明していきます。
この「目指せ!コードマスター」は、
- レパートリーを増やしながら
- コードを少しずつ覚えることができ
- いろんなリズムパターンを身に付けることができる
という、夢のような内容になっています。
第1回「カエルの合唱」と第2回「カタツムリ」、第3回「ぶんぶんぶん」、第4回「しゃぼん玉」、第5回「大きな栗の木の下で」、第6回「きらきらぼし」、第7回「山の音楽家」、第8回「でんでらりゅうば」、第9回「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」、第10回「さよなら」、第11回「夕焼け小焼け」、第12回「ふるさと」、第13回「大きな古時計」、第14回「ともだち賛歌」、第15回「こいのぼり」、第16回「うれしいひなまつり」を終わらせていない人は、そちらの方もご覧ください。
3コードで伴奏をつけた「かごめかごめ」
短調の「3コード」については、前回の「うれしいひなまつり」でCマイナースケール(ハ短調)の場合を紹介しています。
今回は、Aマイナースケール(イ短調)の「かごめかごめ」です。
Aマイナースケール(イ短調)の「3コード」はAm(ラ、ド、ミ)、Dm(レ、ファ、ラ)、E(ミ、ソ♯、シ)です。
なぜこのコードになるのかは、第10回「さよなら」、第11回「夕焼け小焼け」、第12回「ふるさと」を読むと分かります。
まずは、2分音符で伴奏して、音を確認してみましょう。
「もともとは短調でも長調でもない」ということなので、3度の音を各コードから抜いてみましょう。
「A5」「Aomit3」「Ano3」は、同じことを表していました。
コードがEやDのときにも同様です。
「omit」については第15回「こいのぼり」で詳しい説明をしています。
これだけやれば覚えましたね。
「日本の曲はもともと長調や短調ではない」のはなぜか
音を聴いてもらうと、すぐに分かります。
http://www.ymm.co.jp/feature/chousei.php
このURLは、ヤマハミュージックメデイアというサイトで、「調整で読み解くクラシック」という本の紹介をしているページです。
このページで、12の長調と12の短調、全ての音を聞くことができます。
それに加えて、長調や短調ではない音階も、いくつか紹介してあります。
その中の「5音音階」という音階を聞いてみてください。
いかにも「日本」って感じがします。
昔の日本の曲は「5音音階(5つの音で構成されている音階)」のものが多いです。
ということは、「長調」や「短調」ではありません。
「かごめかごめ」などの「わらべうた」は、5音よりも、もっと音の数が少ないですよね。
でも、「5音音階」や「わらべうた」について詳しい説明をすると、ややこしくなるので、今回はスルーします。
長調や短調(西洋の音楽)が日本に入ってきたのは、明治になってからです。
「かごめかごめ」は、(当時の歌詞は今と違いますが)江戸時代から歌い継がれてきた「わらべうた」なので、「長調」や「短調」ではありません。
「長調」と「短調」で分けるとすると、どっちでしょう?
という分け方をすると、「長調というよりは、短調に近いよね」ということになります。
西洋の音楽が入ってきたからといって、明治以降の曲が全部「長調」と「短調」かというと、そうでもありません。
先程紹介した、ヤマハミュージックメデイアのページで、「フリギア」という音階を聞いてみてください。
「荒城の月」が流れてきます。
ミから始まる長調「ミ、ファ♯、ソ♯、ラ、シ、ド♯、レ♯、ミ」は、Eメジャー(ホ長調)。
ミから始まる短調「ミ、ファ♯、ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ」は、Eマイナー(ホ短調)。
ミから始まるフリギア「ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ」は、Eフリギア。
比べてみると、フリギアは、長調より短調に近いですね。
他にも、「どちらかといえば短調かな?」「これは長調なの?」というような曲はたくさんあります。
「うれしいひなまつり」は、「楽しい」とか「うれしい」って言ってるけど、音としては短調。
「しゃぼん玉」は、どちらかといえば長調なんだけど、(歌詞の影響もありますが)やっぱり寂しい感じの音がします。
「赤とんぼ」も、「七つのこ」も、「長調なの?」って感じですよね。
「かごめかごめ」に当てはまるコードを考える
「かごめかごめ」は、どちらかといえば短調です。
だけど、音が4つ(レ、ファ、ソ、ラ)しか使われていないので、かなり自由にコードをつけることができるはず。
ということで、一気にコードを覚えてしまいましょう。
「♭5」「sus4」「dim」「aug」を楽譜で見ると
一つ一つ音を読んでいたら、難しくて嫌になりますね。
「♭5」「sus4」「dim」「aug」の読み方や音の重なり方
- 「♭5(フラットファイブ)」コードの5度の音が半音下がった状態。たとえばCm7(ド、ミ♭、ソ、シ♭)に「♭5」がつくと、Cm7(♭5)(ド、ミ♭、ソ♭、シ♭)。E7(ミ、ソ♯、シ、レ)なら、「♭5」がつくと、E7(♭5)(ミ、ソ♯、シ♭、レ)
- 「sus4(サスフォー)」コードの長3度の音が半音上がった状態。たとえばC(ド、ミ、ソ)ならCsus4(ド、ファ、ソ)、F(ファ、ラ、ド)なら、Fsus4(ファ、ラ♯、ド)
- 「dim(ディミニッシュ)」音と音の間を、全て短3度にして、4つの音を重ねたコード。□m7(♭5)と□dimは、そっくりになる。Cm7(♭5)(ド、ミ♭、ソ♭、シ♭)、Cdim(ド、ミ♭、ソ♭、ラ)。最後の音だけ半音違います。dimコードの転回形は、他のdimコードと同じになる。Cdim(ド、ミ♭、ソ♭、ラ)、E♭dim(ミ♭、ソ♭、ラ、ド)、G♭dim(ソ♭、ラ、ド、ミ♭)、Adim(ラ、ド、ミ♭、ソ♭)
- 「aug(オーギュメント)」音と音の間を、全て長3度にして、3つの音を重ねたコード。augコードの転回形は、他のaugコードと同じになる。Daug(レ、ファ♯、ラ♯)、F♯aug(ファ♯、ラ♯、レ)、A♯aug(ラ♯、レ、ファ♯)
「かごめかごめ」に、♭5、sus4、dim、augの音をつけてみる
今回紹介したコードは、保育で使われるような曲には、ほとんど出てこないのではないかと思います。
ですので、覚えるのが大変だったら、次に行ってしまいましょう。
いろんなコードをつけてみましたが、「わらべうた」は、ピアノの伴奏いりませんよね。
今後の予定
次回は、目指せ!コードマスター(第18回「聖者の行進」で「テンション」を知る)です。
子ども達が鍵盤ハーモニカなどを演奏する活動がある園では、この曲に取り組んだことがあるかもしれませんね。
大人も頑張って、豪華な伴奏をつけることができるようになりましょう。
関連記事はこちらです。
最初からじっくり練習するのも、好きな曲から取り組むのも、なんでもありです。
眺めるだけでも、少しずつレベルアップできるので、とにかく、なるべく多くの楽譜を見ていきましょう。
目指せ!コードマスター(第1回「カエルの合唱」でCFGをマスターする)
目指せ!コードマスター(第2回「カタツムリ」でAmDmをマスターする)
目指せ!コードマスター(第3回「ぶんぶんぶん」でセブンスを考える)
目指せ!コードマスター(第4回「しゃぼん玉」でEmをマスターする)
目指せ!コードマスター(第5回「大きな栗の木の下で」で定番のリズムをマスターする)
目指せ!コードマスター(第6回「きらきらぼし」で定番リズム2をマスターする)
目指せ!コードマスター(第7回「山の音楽家」で「ヘ長調」の曲にコードをつける)
目指せ!コードマスター(第8回「でんでらりゅうば」でB♭Gmをマスターする)
目指せ!コードマスター(第9回「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」で「コードに使われる音の法則」を考える)
目指せ!コードマスター(第10回「さよなら」を題材に「自分でコードを選ぶにはどうすればよいか」を考える
目指せ!コードマスター(第11回「夕焼け小焼け」で3コードを他のコードに置き換える)
目指せ!コードマスター(第12回「ふるさと」でDとBmをマスターする)
目指せ!コードマスター(第13回「大きな古時計」でC6について考える)
目指せ!コードマスター(第14回「ともだち賛歌」右手でコードを弾いてみる)
目指せ!コードマスター(第15回「こいのぼり」伴奏を簡単にする方法をいろいろと考える)
目指せ!コードマスター(第16回「うれしいひなまつり」で短調のコードを考える
目指せ!コードマスター(第18回「聖者の行進」で「テンション」を知る)
目指せ!コードマスター(第19回「七つの子」コードを変えるポイントを考える)
目指せ!コードマスター(第20回「まとめ」スケールとコードを一気に覚える)
それから、
ピアノが自由に弾けるようになる!おすすめコード伴奏も参考にしてくださいね。
もっといろんな楽譜がほしい人は
【簡単・無料のピアノ楽譜】コード3つで弾ける童謡・保育の定番曲まとめ
をご覧ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「もっといろいろと知りたい」という方は、