今回は「目指せ!コードマスター」の第15回です。
「こいのぼり」を題材に、伴奏を簡単にする方法をいろいろと考えてみましょう。
いろいろと試すので、メロディーが簡単な曲を選んでいます。
実際に弾いて、音を確かめながら読んでくださいね。
この「目指せ!コードマスター」は、
- レパートリーを増やしながら
- コードを少しずつ覚えることができ
- いろんなリズムパターンを身に付けることができる
という、夢のような内容になっています。
第1回「カエルの合唱」と第2回「カタツムリ」、第3回「ぶんぶんぶん」、第4回「しゃぼん玉」、第5回「大きな栗の木の下で」、第6回「きらきらぼし」、第7回「山の音楽家」、第8回「でんでらりゅうば」、第9回「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」、第10回「さよなら」、第11回「夕焼け小焼け」、第12回「ふるさと」、第13回「大きな古時計」、第14回「ともだち賛歌」を終わらせていない人は、そちらの方もご覧ください。
こいのぼりの歌詞について考えている話はこちら
【歌詞を楽しんでる?】言葉の獲得の視点で「歌を楽しく歌うこと」を考える話(こいのぼり編)
3コードで伴奏をつけた「こいのぼり」
「3コード」と聞いて「?」が浮かぶ人は、第10回「さよなら」、第11回「夕焼け小焼け」、第12回「ふるさと」も読んでみてください。
「こいのぼり」はDメジャースケール(二長調)なので、3コードはD(レ、ファ♯、ラ)、G(ソ、シ、レ)、A(ラ、ド♯、ミ)です。
まずは、3コードで付点2分音符の伴奏をつけた楽譜で、音を確認してください。
知っている「こいのぼり」の楽譜がCメジャースケール(ハ長調)の人もいると思います。
メロディーの始まりが、「ミレドレミラソ」の楽譜はハ長調です。
「こいのぼり」の原曲はニ長調ですが、♯が無くなって簡単になるので、ハ長調に変えてある場合が多いです。
今回は、DとAのコードを練習するために、原曲のニ長調の方で進めます。
伴奏が、ずっと付点2分音符だと単純すぎますよね。
4分音符にして弾いてみましょう。
2拍目3拍目の音を重ねたのがこちら
楽譜を簡単にするには、
- 3コードに置き換える。
- コードを分散和音にする。または、下の音を1拍目、真ん中の音+上の音を2拍目に弾く
というようにすれば、簡単になります。
これまで、「目指せ!コードマスター」のシリーズを順番に見てきた人は、もう分かっていますよね。
さらに、物足りない場合は、3コードを他のコードに置き換えたりリズムを変えたりします。
今回は、楽譜を簡単にする話なので、ちょっと違うことを考えてみましょう。
何をするかというと、Omit(オミット)と移調です。
Omit(オミット)というのは、コードの音を省略すること、移調というのは、調を他のものに変えることです。
Omit(オミット)とは
オミットというのは、コードの音を省略することです。
とりあえず、これ以上ないくらいに音を減らした楽譜がこちら。
これまでも、すごく簡単な楽譜にしてきたので、あまり変わらない気もしますね。
omitの表し方と意味
コードネームは、正確には次のように表します。
「Domit3」「D5」「Dno3」
ここに書いてある「3」とか「5」の数字は、スケール(音階)の「3番目の音」、「5番目の音」という意味です。
Dメジャーだったら、「レ、ミ、ファ♯、ソ、ラ、シ、ド♯、レ」なので、「ファ♯」が3番目、「ラ」が5番目です。
「Domit3」は「Dのコードから3番目の音(ファ♯)を省略しましたよ」
「D5」は「Dのコードの1番目の音(レ)の次は5番目の音(ラ)ですよ」
「Dno3」は「Dのコードの3番目の音(ファ♯)がないですよ」
という意味です。
3つとも、同じことを表していますね。
「omit5」と書いてあれば5番目の音が、「omit root」と書いてあれば、1番目の音が省略されます。
念のためお伝えしておくと、1番目の音は「root(ルート)」とか「ルート音」「根音」って言います。
omitの使われ方
たとえば、メロディーで「レソファ♯ミ」という音があって、コードがD(レ、ファ♯、ラ)だとします。
このとき、メロディーの「ソ」の音の部分が、コードの「ファ♯」と半音違いで、濁った響きになります。
試しに、「ソ」と「ファ♯」を一緒に鳴らしてみてください。
曲の流れの中では、あまり気にならなくても、取り出して鳴らしてみると、気になる部分ってかなりあるんです。
曲の流れの中でも気になってしまうようなときに、「Domit3(レ、ラ)で弾いてよ。ファ♯は鳴らさないで。」というように使います。
曲を移調することを考える
♯や♭が多くて難しいときは、移調してしまいましょう。
ト音記号やヘ音記号の横に、♯が2つあれば、Dメジャースケール(ニ長調)です。
Dメジャー(ニ長調)の曲は、1音下げるとCメジャー(ハ長調)になります。
全部の音を1音下げて、ト音記号やヘ音記号の横にある♯を全部なくせばOKです。
同じように、
ト音記号やヘ音記号の横に、♭が2つあれば、B♭メジャースケール(変ロ長調)です。
B♭メジャー(変ロ長調)の曲は、1音上げるとCメジャー(ハ長調)になります。
全部の音を1音上げて、ト音記号やヘ音記号の横にある♭を全部なくしてしまいましょう。
移調について、詳しくは
とんでもなくシンプルで簡単!カタカナのドレミで移調をする方法
をご覧ください。
移調をする方法が分かったら、「こいのぼり」の楽譜をハ長調にして、コードもつけてみましょう。
「あめふりくまのこ」も「こいのぼり」と同じニ長調の曲です。
ハ長調にすると一気に楽になりますよ。
さらに、今まで考えてきたことを使って、リズムを変えたり音を省略したりしましょう。
こちらも参考にしてみてください。
移調をするときに、ちょっと気を付けることがあります。
歌の音が低くなったり高くなったりし過ぎないようにしましょう。
実は、「目指せ!コードマスター」の第4回に出てきた「しゃぼん玉」も、ニ長調の曲です。
ハ長調にすると、歌い出しが低い「ソ」の音なので、低すぎます。
というわけで、ハ長調の「しゃぼん玉」をニ長調にしてみましょう。
ハ長調をニ長調にするときは、曲の全体を1音上げて、ファとドの音に♯をつけます。
今後の予定
今回までに、ハ長調、ヘ長調、ト長調、変ロ長調、ニ長調の、5つの調について考えてきました。
保育で使われるような曲は、9割くらいがこの5つの調のどれかです。
ということは、ここまで「目指せ!コードマスター」を順番に頑張ってきた人は、9割くらいの曲はすぐに弾けるということになります。
次回は、目指せ!コードマスター(第16回「うれしいひな祭り」で短調のコードを考える)です。
シとミとラに♭がついているので、弾きづらい曲ですよね。
他の記事はこちらです。
最初からじっくり練習するのも、好きな曲から取り組むのも、なんでもありです。
眺めるだけでも少しずつレベルアップできるので、とにかく、なるべく多くの楽譜を見ていきましょう。
目指せ!コードマスター(第1回「カエルの合唱」でCFGをマスターする)
目指せ!コードマスター(第2回「カタツムリ」でAmDmをマスターする)
目指せ!コードマスター(第3回「ぶんぶんぶん」でセブンスを考える)
目指せ!コードマスター(第4回「しゃぼん玉」でEmをマスターする)
目指せ!コードマスター(第5回「大きな栗の木の下で」で定番のリズムをマスターする)
目指せ!コードマスター(第6回「きらきらぼし」で定番リズム2をマスターする)
目指せ!コードマスター(第7回「山の音楽家」で「ヘ長調」の曲にコードをつける)
目指せ!コードマスター(第8回「でんでらりゅうば」でB♭Gmをマスターする)
目指せ!コードマスター(第9回「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」で「コードに使われる音の法則」を考える)
目指せ!コードマスター(第10回「さよなら」を題材に「自分でコードを選ぶにはどうすればよいか」を考える
目指せ!コードマスター(第11回「夕焼け小焼け」で3コードを他のコードに置き換える)
目指せ!コードマスター(第12回「ふるさと」でDとBmをマスターする)
目指せ!コードマスター(第13回「大きな古時計」でC6について考える)
目指せ!コードマスター(第14回「ともだち賛歌」右手でコードを弾いてみる)
目指せ!コードマスター(第17回「かごめかごめ」で「♭5」「sus4」「dim」「aug」を知る)
目指せ!コードマスター(第18回「聖者の行進」で「テンション」を知る)
目指せ!コードマスター(第19回「七つの子」コードを変えるポイントを考える)
目指せ!コードマスター(第20回「まとめ」スケールとコードを一気に覚える)
それから、
ピアノが自由に弾けるようになる!おすすめコード伴奏も参考にしてくださいね。
もっといろんな楽譜がほしい人は
【簡単・無料のピアノ楽譜】コード3つで弾ける童謡・保育の定番曲まとめ
をご覧ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「もっといろいろと知りたい」という方は、