合奏・楽器を使った遊びで考える「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」

幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を、教育課程・全体的な計画や指導計画に取り入れなければならないみなさん。

5歳はともかく、3歳や4歳を担任している人は、10の姿を取り入れて、子どもの具体的な姿を書き出すのは大変ですよね。今回は、合奏や楽器を使った遊びで見られる姿が、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿と、どのようにつながっているかを考えてみましょう。

この記事では、「10の姿」につながる、具体的な姿を考えるためのヒントを、「合奏・楽器を使った遊び」に視点を当ててお伝えしています。

最初にはっきりと言いますが・・・

上手に演奏することばかりを目指しているなら、あまり10の姿にはつながりません。

この記事を読んで、書いてあることを実践できれば、「10の姿」につながる姿が見えてきますよ。

「合奏・楽器を使った遊びで見られる姿」と「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」との関係を考える時に気を付けるのはこの2つ

合奏・楽器を使った遊びをするときに見られる姿と、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿との関係を考える時に、気を付けるのは次の2つです。

  • 教育課程・全体的な計画や指導計画の見直し方を今までと同じにする
    「10の姿」を意識し過ぎると、文章ばかりを見てしまい、実際の子どもの姿を見失いがちになります。実際の子どもの姿をしっかりと見ましょう。
  • 「10の姿」に書いてある言葉を安易に取り入れない
    「10の姿」は幼児期の終わりまでに育ってほしい姿です。「10の姿」とのつながりを分かりやすくしようとして、「10の姿」に書いてある言葉を取り入れると、高度過ぎる場合があります。

それでは、具体的に説明していきますね。

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「健康な心と体」

合奏や楽器で、健康な心と体?って思ったでしょ。

でも、合奏も楽器を使った遊びも「健康な心と体」と関係しています。

「健康な心と体は、こんな風にして育まれていく。」ということは、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(健康な心と体)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

そのときに出てくるキーワードを使って、合奏・楽器を使った遊びで育まれる「健康な心と体」について、例をいくつか挙げていきます。

「安定感」
「顔を見合わせながら」とか「保育者と一緒に」「友達と一緒に」「みんなで同じように」などの姿が思い浮かびます。

「環境に関わり」
「興味のある楽器を選ぶ」「みんなと一緒にしようとする」「積極的に音を鳴らす」「リズムを真似る」

「自己を十分に発揮」
「しっかり音を鳴らす」「好きなように表現する」のような姿がありますよね。

これらを参考に文で書いてみると、

  • 興味のある楽器に触れ、音を出してみる。
  • みんなで歌いながら、自由に表現する。
  • いろいろなリズムを試す中で、音楽に合わせて楽器を鳴らす楽しさを感じる。
  • 保育士や同じクラスの子ども達と一緒に音を出すことを楽しむ。

こんな感じの姿が思い浮かびます。

他にも、「生活に必要な習慣や態度を身に付け」ということから、楽器を片付けることや、楽器の扱い方、並んで演奏することなどが姿として思い浮かぶでしょうし、「ねらい」や「内容」などにもなります。

どれも、今まで普通に見られてきた姿ですよね。

「10の姿」を考えるからといって、特別なことを考える必要はないし、特別なことをする必要もありません。

今まで当たり前に見られてきた姿が、「10の姿」とどうつながっているかを見付けましょう。

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「自立心」

「自立心」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(自立心)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

そのときに出てくるキーワードを使って、合奏・楽器を使った遊びで育まれる「自立心」について、例をいくつか挙げていきます。

「身近な環境に主体的に関わり」
「先生が叩いたリズムを真似て同じように手を叩こうとする」小さいうちなら、これだけでも身近な環境に主体的に関わっていますよね。「新しい楽器に興味をもち、リズム遊びに楽しんで参加する」とか「楽器遊びを楽しみにして、先生の話をよく聞く」というような姿が思い浮かびます。

「様々な活動を楽しむ」
これは例はいりませんよね。
楽器を鳴らすことや、みんなと一緒にすることを楽しんでいる姿なら、なんでもありです。

「信頼する保育士等に支えられながら」「物事を最後まで行う体験を重ね」
楽しんで音を鳴らしているうちは、あまりないかもしれませんが、発表会などでは、ちょっと難しいことをする園もありますよね。そういうときは、教えてもらったり繰り返し練習したりすることもありますね。「保育士等に支えられながら」で十分なので「物事を最後まで行う体験を重ね」ましょう。

「自分の力でやろうとする気持ちをもつ」「やり遂げた満足感を味わう」
「自分で新しいリズムを考える」とか「自分達で集まって合わせる」「繰り返し演奏する」など、自主的に合奏しようとする姿がありますよね。

これらが合奏・楽器を使った遊びで「自立心」が育まれている姿です。

「健康な心と体」と同じように、実際の子どもの姿を思い出しながら、文に表してみてください。

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「協同性」

「協同性」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(協同性)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

そのときに出てくるキーワードを使って、合奏・楽器を使った遊びで育まれる「協同性」について、例をいくつか挙げていきます。

「教師との信頼関係を基盤として」
「基盤として」なので、例はいらないかとも思いましたが、あえて言うなら、「信頼関係があるから自分らしく表現できる」ということはありますよね。

「友達と関わって、嬉しい、悔しい、悲しい、楽しいなどの感情を味わう」
友達と一緒にいて嬉しい、思うようにできず悔しい、悲しい、音が出るだけでも楽しい・・・など、音遊び、楽器遊びをする中で、いろいろな体験があり、感情を共有していますよね。2~3人だけ上手くいかなくて仲間意識を感じる場合もあります。このような体験を通して、「友達との関わりが深く」なっていきます。

たとえば、グループをいくつかつくって、グループ毎にリズムを考えます。そうすると、「どんなリズムが曲に合うのか」「難しいリズムだと全員がそろわない」「◯◯ちゃんの考えたリズムのほうがいい」など、思いや考えを共有する場面がたくさん出てきます。

共通の目的は、「楽しく演奏すること」や「みんなでそろって演奏したときの心地よさを感じること」ですよね。このような体験を積み重ね、「目的が実現する喜びを味わう中で協同性が育まれる」ということになります。

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「道徳性・規範意識の芽生え」

「道徳性・規範意識の芽生え」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(道徳性・規範意識の芽生え)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

道徳性・規範意識の芽生えについては、他と違って、キーワードが少ないです。

ですので、ちょっと違う部分もプラスして説明します。

「自分の感情や意思を表現しながら」
「楽しい」「もっとやりたい」「(楽器を叩いて)手が痛い」「やりたくない」も、立派な感情や意思の表現です。まずはこれが第一歩です。このように、担任などに感情や意思を表現して、それから、他の子どもたちにも感情や意思を表現します。これが、道徳性・規範意識の芽生えの始まりです。

年長になってくると「それだと曲に合ってない」「こうしたほうがいいんじゃない?」とか、「合ってないから練習したい」など、子どもが気付いて発言するようになりますよね。

「自己主張のぶつかり合いによる葛藤などを通して互いに理解し合う体験を重ねる」

子ども同士がぶつかり合い、葛藤しないといけないんです。

そうしないと、互いに理解し合うことにはなりません。ぶつかり合う前から止めてしまうと、道徳性や規範意識の芽生えは育まれないんです。

誤解している人もいますが、「道徳性・規範意識の芽生え」は、「決まりを守る」というようなことではありません。人との関わりが先にあって、その中で、必要な決まりができてきます。

一般的な、合奏で守る決まり(並ぶ、楽器を片付けるなど)は「生活に必要な習慣や態度を身に付け」ということを考えると「健康な心と体」です。

楽器を大事に使う「公共のものの使い方」という意味では「社会生活との関わり」になります。

「他の幼児と様々な体験を重ね」
ストレスを発散するかのように楽器をメチャメチャに鳴らすのも、並んでいるときに押し合うのも、ふざけて違うことをするのも、様々な体験です。

「してよいことや悪いことがあることを分かり」「考えながら行動するようになっていく」
楽器をメチャメチャに鳴らしても合奏にならないし、友達を押すと危険です。友達に対して、「これはしてもOK。これは、してはダメなんだ」ということも、実体験を伴っていると分かりやすいですね。体験を重ねて、してよいこと悪いことがあることを分かってくると、だんだん考えながら行動するようになっていきます。

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「社会生活との関わり」

「社会生活との関わりは、こんな風にして育まれていく。」ということは、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(社会生活との関わり)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

そのときに出てくるキーワードを使って、合奏・楽器を使った遊びで育まれる「社会生活との関わり」について、例をいくつか挙げていきます。

「初めての集団生活の場である保育所の生活」「保育士等との信頼関係を基盤」
保育所や幼稚園の生活は、初めての集団生活です。ですので、保育所や幼稚園で生活していること自体、社会生活との関わりです。合奏も、みんなで同じことをする、準備する、並ぶ、片付けるなど、集団生活そのものですね。「保育士等との信頼関係を基盤」という言葉は、前にも出てきたので省略します。

「保育所内の子どもや職員、他の子どもの保護者」「いろいろな人と親しみをもって関わる」
合奏をするときは、(園によりますが)楽器ごとに教えるなど、普段よりも多くの職員が参加しますよね。せっかくなので、普段とは違う職員と親しむ場としてみてはいかがでしょうか。ピアノやギターなどが得意な保護者さんに手伝ってもらうと、他の子どもの保護者と触れ合う機会となりますね。

外部の講師に指導をお願いをしている園もあるかと思います。合奏でも、社会生活との関わりはありますよね。

「家族を大切にしようとする気持ちをもつ」
「いろいろな人と関わる中で、家族の大切さに気付く」という意味だろうと思います。でも、小さい子にはちょっと難しいですよね。保護者さんに手伝ってもらい、「ありがとう」の気持ちをもつと、「家族にもいろいろと助けられている」ということにつながるかもしれませんね。

「小学生や中学生、高齢者や働く人々など地域の身近な人と触れあう体験を重ねる」
小学校の音楽会を見に行く、園に演奏に来てもらう、演奏に来てもらったときに楽器の体験をさせてもらうなど、触れ合う体験はいろいろとできますね。「子ども達が上手に演奏する」以外にも目を向けてみましょう。

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「思考力の芽生え」

「思考力の芽生え」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(思考力の芽生え)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

では、「思考力の芽生え」が育まれるときに出てくる言葉を見てみましょう。

「身近な事象に積極的に関わる中で」
身近な事象
なので、普段の楽器遊びや、合奏の活動で体験できることです。とにかく、「手や楽器を叩くと音が出る」ということですね。「積極的に」という言葉がありますが、気持ちが向いているかどうかの問題です。見ているだけのようでも、積極的に音を聴いていることもあれば、真剣な顔をしているようでも、全然違うことを考えていることもありますよね。

「物の性質や仕組みなどを」
「物の性質」
「仕組み」って言われると難しい気もしますね。叩くと音が出るというのが、物の性質です。空洞があるから音が響くとか、響き線がついているから音が変わるとかが、仕組みです。

「物の性質や仕組みなどを」なので、そんなに難しく考えなくてもいいです。とにかく何かを「感じ取ったり」「気付いたり」するのが思考力の芽生えということですね。

思考力と思ってしまうと「力を入れて叩くと音が大きくなる」とか、「叩く場所で音が変わる」などを思い浮かべてしまいます。でも、まずは「感じ取ったり」で十分ですよ。「楽しい」とか「いい感じ」からスタートしましょう。

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「自然との関わり・生命尊重」

「自然との関わり・生命尊重」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(自然との関わり・生命尊重)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

さすがに「自然との関わり・生命尊重」と音楽とは関係ないと思いますよね。

でも、関係あるんです。

「保育所内外の身近な自然」
自然物で楽器を作ると、作っているとき、演奏しているときに、よく見てしっかり関わることになります。葉っぱで作る笛、ドングリ笛、竹を材料にした木琴やブームワッカー(ドレミパイプ)など、いろんなものを作ることができますよ。

「美しさや不思議さに触れて」「感動する体験を通して」
たとえば、ドングリの表面は、いろんな模様があってキレイですよね。他にも、材料にするドングリや葉っぱを探していると、美しいものがたくさん見付かります。「美しさや不思議さ」を感じて「感動する体験」もしています。合奏そのものではなくて、楽器を作る過程ですけど。

「自然の変化などを感じ取り」
乾燥しきったドングリや竹は割れてしまうし、表面が濡れていると滑ってしまいます。本気で楽器を作ってみると、自然の変化にも「関心をもつようになる」んです。

また、子どもは、身近な動植物に愛着をもって関わる中で、生まれてくる命を目の当たりにして感動したり、時には死に接したりし、生命の不思議さや尊さに気付き、大切にする気持ちをもって関わるようにもなる。

出典:保育所保育指針解説

稚園教育要領解説、幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説にも同じように書いてあります。

ドングリを何個も使っていると、当然ドングリ虫との関わりもあります。楽器を作っている中で、生命尊重にもつながる体験ができるんです。

虫が出てこないように、ドングリを使う前にゆでたり冷凍したりするのは、「生命尊重」と、かけ離れています。ドングリ虫が出てきたときに、どうしたらいいか分からない人は、
【処理する必要なし】どんぐり虫のいないドングリを見分ける方法・逃がし方・飼い方
を読んでみてください。

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」

「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

では、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」が育まれるときに出てくる言葉を見てみましょう。

「遊びや生活の中で身近にある数字や文字に」
これは言うまでもありませんね。合奏をする中で、「1、2、3・・・」って数えることがありますよね。何回叩くとか、並ぶ場所に印をつけておくとか、いくらでも例が出てくるはずです。

「興味や関心をもったり」「物を数えることを楽しんだりする場面が見られるなど」
グループ名を絵と文字で記してあれば、「なんて書いてある?」と興味をもつことがありますよね。楽器を片付ける場所にも、絵と文字があるかもしれません。何拍休みがあるか、数えることもあります。合奏では、文字や数が出てくる場面、それを見て楽しんでいる場面が、かなりありますよ。

「保育士等や友達と一緒に」
みんなで一緒に数を数えると、それだけで楽しいです。数が分かっていなくても、周りの友達が数えるのを聞きながら、少しずつ分かるようになっていきます。

「数量や図形、標識や文字などに」
小学校の高学年でも、「1拍」のことを「1秒」と言う子どもがかなりいるのは置いといて・・・合奏ではテンポの感覚も必要ですよね。「速さ」です。「音の高さ」にも関心をもつことができますね。もし、楽譜の代わりに、子ども用にマークなどを使っているのであれば、そのマークが何かを意味していることを感じているはずです。

このようなことに「触れ、親しむ体験を重ねていく」ことで、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」が育まれていきます。

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「言葉による伝え合い」

「言葉による伝え合い」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(言葉による伝え合い)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

では、「言葉による伝え合い」が育まれるときに出てくる言葉を見てみましょう。

「子どもは保育士等や友達と心を通わせる中で」
合奏では、みんなで一緒に音を出すとか、音がどのように鳴っているかを感じるとか、「せーの」で合わせるなど、一緒に何かをすることが多いです。ですので、保育士等や友達と心を通わせる体験もたくさんできますよね。

「絵本や物語などに親しみながら」「豊かな言葉や表現を身に付けていく」
絵本や物語の音楽を演奏することもありますよね。絵本や物語の音楽ではなくても、「絵本や物語など」の、「など」の部分があります。保育士等や友達の、豊かな言葉や表現そのものです。たとえば、「心がこもった」とか「音色」などと、これまで知らなかった表現を聞くことがあります。しかも、絵本などとは違い、実感を伴ったリアルな言葉です。

「自分の気持ちや思いを伝え、保育士等や友達が話を聞いてくれる中で」「言葉のやり取りの楽しさを感じ」
これは、どんな遊びや生活の場面でも見られることですよね。「みんなの前で発表して、みんながそれを聞く」というようなことは必要ありません。「合奏したくない」「せっかく遊んでたのに」など、ちょっとしたことでも、自分の気持ちや思いを伝えればいいんです。その話をしっかり聞いて、「言葉のやり取りの楽しさを感じ」となるくらい、上手い返事をしたいものですね。

「言葉による伝え合い」ではさらに、「そのやり取りを通して相手の話を聞いて理解したり共感したりするようになっていく」、「このような体験を繰り返す中で、自分の話や思いが相手に伝わり、相手の話や思いが分かる楽しさや喜びを感じ」、「次第に伝え合うことができるようになっていく」というようになっていきます。

「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」「振り付けをすると合いにくいから、ここは振り付けを無くそう。」などと、子ども達が自主的に伝え合って、音楽を作り上げようとする合奏をしていますか?

合奏・楽器を使った遊びで育まれる「豊かな感性と表現」

「豊かな感性と表現」についても、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

詳しいことは「10の姿」(豊かな感性と表現)につながる具体的な姿を考えるヒントを読んでください。

では、「豊かな感性と表現」が育まれるときに出てくる言葉を見てみましょう。

「子どもは、生活の中で心を動かす出来事に触れ」
合奏での心を動かす出来事といったら・・・と、難しく考える必要はありません。音が出てびっくり、楽器が大きい、楽しいなど、何でもありです。変な音が出る楽器だと、それだけで大騒ぎすることもありますよね。また、「協同性」のところにも出てきた、「悲しい」「悔しい」などのネガティブな感情も必要です。

「みずみずしい感性を基に思いを巡らせ様々な表現を楽しむようになる」
たまたま壁を叩いて、音が鳴ったことを面白いと思ったら、何度も壁を叩くかもしれません。ポーズをとるのは恥ずかしかったのに、やってみると、その動き自体が楽しくなるかもしれません。楽器を鳴らすだけでなく、楽しかったら大きな声が出ます。「子どもの素朴な表現は、自分の気持ちがそのまま声や表情、身体の動きになって表れることがある」とは、こういうことです。

「保育士等や他の子どもに受け止められることを通して」
リズムを正確に叩けなくても、楽譜と違う音が出ても、楽しむことはできます。間違いととらえずに、まずは、それを受け止められることが必要です。そうすると、次への意欲が出てきますよね。

「動きや音などで表現したり演じて遊んだりしながら」
これは言うまでもないですね。音を鳴らして楽しんでいること全てです。楽器を鳴らしているときに、体全体が動くこともありますよね。

こうして、「自分なりに表現することの喜びを味わう」ようになります。これらが、合奏や楽器を使った遊びで「豊かな感性と表現」が育まれているところです。

まとめ

「自立心」も「協同性」も、他の姿も、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」がどのように育まれるかは、「こんな風に育まれていく」ということが、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説に、はっきりと書いてあります。

そこに出てくる言葉を使って、この記事は書いてあります。まずは、幼稚園教育要領解説や、保育所保育指針解説幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説を、よく読みましょう。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を具体的に考える時に必要なことは、幼稚園の教育課程、保育所の全体的な計画や、指導計画を、今までと同じように見直すことです。

今までは、子どもの姿を基にして見直していました。「10の姿」を基にして見直してしまうと、今までとは違う見直し方になってしまいます。ですので、実際の子どもの姿とは違うものになってしまったり今まで以上に労力が必要だったりします。

そして、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に書いてある言葉を安易に取り入れないことが大切です。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」なので、書いてあることは、かなり高度です。

最後に、
「10の姿」を3歳や4歳で表にすることは求められていません。これまでと同じように「5領域」をベースとして保育をしましょう。これについて詳しいことは、「10の姿」(協同性)につながる具体的な姿を考えるヒントに書いてあります。

他の遊びについても、「10の姿」につながる姿を知りたい人はこちらをご覧ください。
リレー・かけっこで考える「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」
プール遊びで考える「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「もっといろいろと知りたい」という方は、

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。