「提出する用紙のスペース分しか記録しない実習生は途中から何もしなくなる」ということから記録の方法を考える

私はこれまで実習生を数百人見てきました。もちろん、いろんな人がいましたが、記録用紙の様式や実習の形、実習生のタイプに関わらず、共通していることがあります。それは、「記録するスペースに制限がある場合、そこ以外にメモをせずに書こうとする人は記録が上手く書けない」ということです。

記録をまとめるのは最終段階

自動車メーカーのトヨタでは、なんでも紙1枚にまとめます。「トヨタ式」「トヨタ方式」と言われることもあり、A4やA3サイズ1枚分にまとめるこの方法は、いろんな会社や官公庁で取り入れられています。ですが、使い方を間違っている場合がたくさんあります。

1番の間違いは「1枚にまとめるのは最終段階」というのを分かっていないことです。プレゼンや会議の資料を、最終的に紙1枚にまとめるんです。実習だったら、最後に提出するときに記録をまとめるんです。

子どもの様子、担任の働きかけ、考察などをまとめて書くということを、プロがやったら書籍になります。それと同じことを、下書きどころか、メモ書きの段階からいきなりやろうとするから、何も書けないし、書いてもよく分からないものになります。

スペースがすぐに埋まるので、書いた後はボーッと子どもを眺めているだけの実習生が出てくるんです。

記録をまとめる前にどうするか

私が実習生に対して指導できる場合は、「記録するときは学校から渡された用紙を使わないでほしい」と言います。ノートでもなんでもいいので、とにかくメモをして、最後に用紙にまとめるように指導します。私に見せる段階では、どんなに汚くてもかまいません。

実習生と同じ状況が、保育現場で起きていないでしょうか?簡素化、簡略化と言って、記録のスペースを1~2行にし、メモすらしていない担任が、時間に追われ、「あーもう、これだけにまとまるわけない。これでいいや」という記録をしていないでしょうか?

保育中にメモをするということについて

あなたは、保育中にメモをしていますか?

保育中に記録することを嫌う人もいます。書いている間は、子どもを見ることができませんから。だから、まとまった記録ではなくて、走り書きのメモでいいんです。私の場合は手元を見ずに字を書きます。

1 まず覚えられない
2 覚えておこうと思うと保育に集中できない
3 メモを頼りにすると、記録をまとめるときに時間がかからない

私の場合はですけど、この3つの理由から、保育中でもメモをします。覚えておいて後から書こうと思うと、かえって保育に支障が出てしまうんです。

短期記憶が得意な人、たくさん覚えることができる人、なんでもすぐに忘れてしまう人と、人によっていろいろですので、「こうやってメモをし、こう記録をしなさい」とは一概に言えません。ただ、1つ言えることは、「いきなり清書して書ける人は少ない」ということです。

簡素化、簡略化で、記録のスペースが小さくなったことで・・・

・簡素化、簡略化イコール手抜きになっていないか
・簡素化、簡略化のはずなのに、かえって苦労している人はいないか

ということを心配しています。実際、「スペースが小さくて書けずに悩んでいます」という主旨の相談をされたことが何度かあります。

具体的にどうするか

では、結局どうすればいいかというと、いきなり記録用紙にまとめるのではなくて、
メモ→(下書き)→記録用紙にまとめる

というようにしましょう。

メモをとらない人は、記録用紙に書く前の段階で、単語でもいいので文字に表しましょう。何も書かなくてもいきなりまとめることができる人は、何も苦労していないと思いますので、そのままの方法を続けてください。

記録への向かい方については、次の記事も書いています。
【すき間時間に終わらせる】文字数を意識しないで記録をするといろんなことが上手くいく話

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保育塾代表
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保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。