保育指導案に「保育者の援助」を書きますよね。
基本は「~する(できる)ように○○する」と書くようにすると、すっきりして見えます。
でも、単純にこの形に当てはめてしまうだけだと、ちょっとまずいことになります。
必要なのは具体的であること。
実際に、保育者がどのように動くか、どのような声をかけるかが分かるようにしましょう。
「保育者の援助」は「実際に自分がどうするか」を考えながら書く
次の「保育者の援助」を見てください。
「子ども達が自ら進んで活動に取り組み、楽しみながら安全に遊べるように配慮する」
「~する(できる)ように○○する」という形で書いてあります。
どのように動いたり声をかけたりするかが想像できますか?
「保育指導案を書いてあげたから、明日この援助をして保育してね。」って言われたらどうしますか?
これで動きや言葉を具体的に思いうかべることができる人は、ほとんどいないでしょう。
「どのように動くか」「どんな言葉をかけるか」が分からないと、保育できませんよね。
「保育者の援助」は、実際に自分がどうするかを考えながら書きましょう。
先程の例文を、もう一回見てみます。
「子ども達が自ら進んで活動に取り組み、楽しみながら安全に遊べるように配慮する」
「~する(できる)ように○○する」という形で書いてあります。
何がまずかったのでしょうか。
具体的な「保育者の援助」を書くための3つのポイント
ねらいや内容に書いた言葉をなるべく使わない
「保育者の援助」には、ねらいや内容に書いた言葉を使いたくなりますよね。
「この内容に対しての保育者の援助です。」ということが分かりやすくなります。
でも、ねらいや内容に書いた言葉を使いすぎると・・・
「ねらいが達成できるように援助する」
「内容に書いたことができるように配慮する」
って言っているのと同じになります。
ねらいや内容に書いた言葉は、なるべく使わないようにしましょう。
援助をする理由の部分はなるべくシンプルに書く
「~する(できる)ように○○する」の前半部分「~する(できる)ように」は、援助をする理由です。
書きたいのは「保育者の援助」のはずです。
理由部分が長くならないようにしましょう。
例文は「~する(できる)ように○○する」の前半部分「~する(できる)」が長すぎます。
理由部分が長すぎると、「子どもの姿」や「ねらい」「内容」で書いたことと同じになります。
「自ら進んで活動に取り組み、楽しみながら安全に遊ぶ」
例文の前半部分は「ねらい」みたいですよね。
それも、相当ざっくりとした「ねらい」です。
例文は、これにちょっと言葉を足しただけです。
「子ども達が自ら進んで活動に取り組み、楽しみながら安全に遊べるように配慮する」
具体的な動きや言葉が思い浮かぶはずありません。
さらに、例文では「自ら進んで活動に取り組む」「楽しみながら」「安全に」と、3つのことが書かれています。
それに対して、援助は「配慮する」だけです。
援助する理由の部分はシンプルに、1つのことだけ書きましょう。
「配慮する」「支える」「言葉をかける」などの中身を考える
保育指導案を書いていると、うまく言葉が思い浮かびません。
だから、「配慮する」「言葉をかける」「見守る」などと書いて、終わりにしたくなります。
先輩の保育指導案にも、「配慮する」「見守る」などと書いてあります。
でも、先輩の頭の中には、「配慮する」「見守る」の詳細があるんです。
「特に○○の遊びについては、安全に遊べるように配慮する」
というように、保育者の援助の部分が「配慮する」だけだったとしても、実際は、
- スペースを十分にとるために、こんなふうに並ぶ
- この道具はこのタイミングで出す
- このタイミングで下準備をしておく
- 使っていない道具はすぐに安全な場所に動かす
- 子ども達が動いていない時に場の準備をする
- 以前に使ったことがある道具だが、そのときに欠席していた子供には、前もって個別に使い方を教える
- 基本的には見守り、慣れていない様子が見られたら手を添える
- A児に関しては、こんな表情をしたときには手を貸す
- B児には、こんな言葉をかける
みたいな感じです。
もちろん全部を書けるはずありませんよね。
保育指導案には、特に大事なことを1つか2つ、まとめて書きます。
たくさん書きたいときには、「~など」という言葉を使いましょう。
「安全に遊べるように、並び方や遊ぶ場所に配慮して、スペースを十分にとる」
「安全に遊べるように、道具の扱い方を確認し、必要に応じて個別に対応をする」
詳しく書いてあれば、「~する(できる)ように」の部分がなくても、何をするかが分かります。
「横に手を伸ばしても隣の子どもに当たらない並び方にし、道具は必要なものを順番に出す」
「使う前に道具の扱い方を確認する。基本的には見守り、慣れていない場合には手を添えるなど個別に対応する」
どのくらい詳しく書くかは、園により、人によって、求められるものが変わります。
基本的には、月案より週案が、週案より日案が詳しくなります。
スペースの都合などで、詳しく書かなかったとしても、具体的な動きや言葉を考えておきましょう。
まとめ
「保育者の援助」を書くときには、実際に自分がどのように動くか、どんな言葉をかけるかを、考えて書きましょう。
具体的に書くために、3つのポイントがあります。
・ねらいや内容に書いた言葉をなるべく使わない
保育者の援助には、ねらいや内容に書いた言葉を使わないようにしましょう。
ねらいや内容に書いた言葉を使うと、ねらいや内容と関連しているように見えます。
でも、同じ言葉を使いすぎると、ねらいや内容と同じような中身になり、保育者の援助を書く意味が無くなります。
・援助をする理由の部分はなるべくシンプルに書く
「~するために」「~できるように」などの部分は、なるべくシンプルに書きましょう。
この部分は、援助をする理由の部分です。
「~する(できる)ように○○する」の後半、「○○する」の部分をしっかり書きましょう。
・「配慮する」「支える」「言葉をかける」などの中身を考える
どう配慮をするか、どのように支えるか、実際に言う言葉は何かを考えましょう。
市販の本などには、保育者の援助に「配慮する」「見守る」などと書いてあります。
月案だったら、まとめて「配慮する」と書いてあることもあります。
でも、「配慮する」で日々の保育はできません。
具体的でないと、自分が保育をするときに困ります。
それか、周りの保育士や子ども達が困っています。
保育者の援助は具体的に書きましょう。
保育者の援助を具体的に考えているのに、うまくいかない人、さらにレベルアップしたい人は、次の記事も読んでください。
- ブレない「保育者の援助」でレベルアップするための4つの視点
- 保育者の援助「配慮する」を考えると保育が変わる
- 保育者の援助「見守る」を考えると保育が変わる
- 「内容」と「保育者の援助」をセットで考えると保育が変わる
「保育指導案の書き方をもっと詳しく教えてよ」という人は、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。
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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。
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