【伝わりやすい保育指導案の書き方】ねらいと内容にぴったりの言葉を見つけるための6つの方法

「指導案の書き方が分からない。」

と、悩んでいる人は、少なくはないでしょう。

指導案を書くときに、つまづくポイントは、人それぞれです。

そのため、指導案の書き方を詳しく説明すると、大変な量になります。

そこで、つまづくポイントごとに、説明をしていきます。

  • 月のねらいと、週のねらいの違いを、自信を持って説明できない。
  • ねらいと内容を毎週考えるのが大変。
  • 本当は少し違うと思っているのに、ぴったりの言葉が見つからない。

こんな風に思ったことはありませんか?

この記事は、「ねらいと内容にぴったり合った言葉が見付けられない原因」と、「ぴったりの言葉を見付けるための具体的な手順」を書いたものです。

実際に子どもの姿を思いうかべ、「自分の指導案ならどのように書こうかな」と考えながら読んでみてください。

ねらいと内容にぴったりの言葉が見付からないのはなぜか

ねらいと内容にぴったりの言葉が見付からないのは、主に次のような原因があります。

  • 「ねらいと内容」の意味が理解できていない
  • 書いているうち、悩んでいるうちに、書いていることがブレる
  • 年齢、発達に合っていない
  • 子どもの実態と合っていない
  • 月案、週案、日案の表現を分けることができていない
  • 適切な表現をするための言葉のレパートリーが少ない

これらを解決する方法を、1つずつ、詳しく説明していきますね。

実際に自分が書いた保育指導案を準備することをオススメします。

自分が書いた保育指導案と比べながら読んでみてください。

先にお断りをしておくと、具体的な手順を文字に表してあるため、この記事は少々長いです。「ねらいの書き方だけサクッと分かればいいよ」という人は【1分で書ける】保育指導案の「ねらい」3つの書き方を読んでください。

「ねらいと内容」の意味をもう一度はっきりさせる

もう一度「ねらいと内容」の意味をはっきりさせましょう。

ものすごく簡単に表現すると、

ねらい・・・目標

内容・・・目標を達成するための方法、目標を達成するためにすること

このようになります。

「ねらいと内容」に、本当にぴったりの言葉が書いてあるとすれば、1週間後や1ヶ月後に、子ども達はそのような姿になるはずです。

週案の場合は、「内容」に書いてあることを経験すると、子ども達は、1週間後くらいに、「ねらい」に書いた姿のように成長するはずです。

月案の場合は、「内容」に書いてあることを経験すると、子ども達は、1ヶ月後くらいに、「ねらい」に書いた姿のように成長するはずです。

ここで1つ注意です。

いろんな掲示板などで、「ねらいと内容」について質問すると、余計に混乱する場合があります。

それは、小学校や中学校の先生が答えてくれる場合です。

小学校や中学校では、「心情・意欲・態度」を「ねらい」にするという感覚がありません。そもそも、「心情・意欲・態度」という言葉が、小学校や中学校にはありません。

そのため、「秋の自然を感じる」を「ねらい」の例として出すと・・・「秋の自然を感じる」は「ねらい」とは言いませんよ。というように教えてくれるはずです。幼児教育では「秋の自然を感じる」は「ねらい」になりますからね。掲示板を利用するときは気を付けましょう。

ねらいと内容の意味について、詳しくは、伝わりやすい保育指導案の書き方【ねらいと内容の違いを自信をもって説明する】を読んでみてくださいね。

書いていることがブレないように全体を見ながら書く

「ねらいと内容」にぴったりの言葉がうまく見付からないのは、文の表現を最初から細かく考えすぎている可能性があります。

細かい表現を気にしすぎると、周りが見えなくなってしまいます。

最初は全体を考えて、何を書くか大体のところを決めてから、それぞれの文を考えましょう。

  • 今週の子ども達は、大体こんな感じだったな
  • 「ねらい」の1つは友達との関わりについて
  • その「ねらい」に対して、「内容」は、「一緒に遊ぶ」というようなことと「優しくする」というようなこと
  • もう1つの「ねらい」は遊びの追求のようなことを書きたいけど、「内容」が思い浮かばないから、後で主任にヒントをもらう
  • じゃあ、今週の子ども達は具体的にどんな姿だったかな
  • 子ども達にこんな姿があったから、友達との関わりについては「いざこざ」のことも「内容」に書こう

こんな感じで、最初はかなりアバウトに全体にメモをしていきましょう。

このような書き方にすると、慣れてきたら、それまでとは比べものにならないくらい早く書けるようになります。

保育指導案の書き方を変えると保育も働き方も変わるを合わせて読んでみてください。

とにかく、ざっくりと全体を決めてから細かい表現を考えましょう。

最初から文を細かく考え過ぎると、後から見たときに、「ねらい」や「内容」が、実際の子どもの姿と違ってしまうことがあります。

最初から「子どもの姿」をきっちり書くと、「ねらい」と関係ないような姿を書いたり「ねらい」につながる姿を書かなかったりすることになりがちです。

目の前の子どもをしっかり見ると「ねらいと内容」は年齢や発達に合ってくる

この「ねらい」は、ちょっと今の子ども達には難しいんじゃないの?

「内容」や「保育者の援助」がこれだけで、この「ねらい」が達成できると思う?

などと言われることがありますよね。

解決方法は1つです。

目の前の子どもをしっかりと見ましょう。

3歳児の担任をしていて、来月は7月だから、3歳7月の月案を検索して・・・

ということをしても、年齢や発達に合った保育指導案を書くことはできません。

なぜなら、検索して見付かるのは、どこかの誰かのために書かれた保育指導案だからです。

ということで、このサイトの記事に出てくる例文には、「何月」どころか「何歳のもの」ということも書いてないことが多いです。

書いてあったら写したくなってしまいますから。

あなたは、自分でなんとか書こうとしているから、この記事を読んでいますよね。

もし、例文を写して書いているような人がいたら、【例文を写すことがある人へ】保育指導案レベルアップへの4ステップを紹介してあげてください。

それから、保育指導案を自分で書くことに慣れてきたら、ぴったりの言葉を書くことも考えていきましょう。

この年齢だと、大体これくらいの発達で・・・などと、大体の発達を知っておくのは良いことです。

でも、細かくは覚えられませんよね。

子どもの発達について、すごく詳しくなったとしても、子どもがその通りに育つわけではありません。

とにかく、目の前にいる子どもを、しっかりと見ましょう。

子どもの実態に合った保育指導案を書けば、自然と年齢や発達に合ったものになります。

振り返りをしながら書くと子どもの実態に合わせることができる

来週の週案を書くと想定して、指導案の書き方をもう一度考えてみましょう。一般的には、期案や月案などの、長期の指導計画を基にして書きますよね。

まずは子どもの姿から

まず、「子どもの姿の見とり」「先週の子どもの姿」など、園によって文言はいろいろですが、子どもの実態を書きます。子どもの実態を全部書いてから、「これからどんな、ねらいと内容にしようか・・」と、考えると大変です。子どもの実態には、最初から、ねらいと内容に関連した姿を書きます。

このときに、参考にしてほしいものがあります。それは、自分が書いた、今週の週案です。今週の週案の、ねらいと内容に書いたことを見てみましょう。ねらいと内容に書いたことと似たような姿が、子ども達に現れているはずです。現れてなかったとしたら、まだ週の始めでしょうか。それとも、ねらいと内容に書いたことが子どもに合ってなかったか・・・

とにかく、今週の週案に書いたことを見ましょう。今週の週案の、「ねらいと内容」に関連した姿を、来週の週案の「子どもの実態」のところに書きます。こうすると、ねらいと内容に関連した、子どもの実態が書けます。

子どもの姿の書き方(具体例)

今週の週案に書いたねらいの1つが、次のようなものだとします。
○自分の思いを出しながら、したい遊びを楽しむ。

それに対しての内容が、次の2つだとします。
●保育者や友達と一緒にいる中で、思ったことを言葉や行動で表しながら遊ぶ。
●いざこざになった際は、保育者の表情や言葉から、雰囲気を感じ取る。

子どもの実態には、特に、内容についての実際の姿を書きます。ねらいと内容について、分けて考えるよりも書きやすいはずです。

1つ目の内容について、今週見られた姿は、例えばこんな感じ。
・保育者と一緒にいる場面では、どの子どもも、思ったことを表現しながら遊んでいた。子ども達だけだと、まだ言葉が出てこないことが多い。すぐには遊びを始められない場面もあった。

2つ目の内容について、今週見られた姿は、こんな感じだったとします。
・いざこざの際は、保育者の表情や言葉から、雰囲気を感じることができるようになった。これまではその場を逃げ出そうとする姿も見られたが、落ち着いて話が聞けるようになっている。

この姿を、来週の週案の、子どもの実態のところに書きます。そうすると、今週と来週の週案がつながります。

ねらいと内容の書き方(具体例)

次は、今週の姿を基に、ねらいと内容の文を考えます。このときも、今週の週案を参考にしましょう。

先程、今週のねらいは
○自分の思いを出しながら、したい遊びを楽しむ。
ということにしました。

来週のねらいは、今週のねらいを少し変えれば良いんです。
○自分の思いを出しながら、したい遊びを十分に楽しむ。
「十分に」をつけてみました。

でも、今週の子どもの姿を良く見てみると・・・「子ども達だけだと、まだ言葉が出てこないことが多い。」「すぐには遊びを始められない場面もあった。」と、書いてあります。今週のねらいが、子どもにぴったり合っていなかったのです。それとも、保育者の援助が十分ではなかったかもしれません。このようなときは、来週の週案も、今週と同じねらいにすることがあります。

次は内容を見てみます。今週の内容の1つ目は
●保育者や友達と一緒にいる中で、思ったことを言葉や行動で表しながら遊ぶ。
でした。

来週の内容を考えるときも、今週の姿を参考にします。「子ども達だけだと、まだ言葉が出てこないことが多い。」というのが今週の姿だけど、仲の良い子ども同士は話しているな・・ということであれば、今週の内容を「保育者や友達と一緒にいる中で」ではなくて、「保育者や仲の良い友達と一緒にいる中で」と書けば良かったですね。

これから先、友達みんなに対して言葉が出てきてほしいですよね。ということで、来週の内容の1つ目も、今週と同じにしてしまいます。今週の週案の方は、赤いペンで「保育者や仲の良い友達」に直しておけばOKです。こうすると、来週の週案を書くのと同時に、今週の週案の見直しができます。

今週の内容の2つ目は、
●いざこざになった際は、保育者の表情や言葉から、雰囲気を感じ取る。
でした。

今週の姿では、「保育者の表情や言葉から、雰囲気を感じることができるようになった。」となっています。じゃあ来週は、今週の内容より一歩先に進んで、

●いざこざになった際は、保育者に促されて、他のことに気持ちを向けたり譲ったりする。

などとしてみましょう。もし、いざこざの状態がひどくなってしまったとしたら、いざこざのことを、ねらいに取り上げることもあります。反対に、いざこざがなくなってきたら、ねらいと内容に、いつまでも書かなくても良いですよね。

ねらいと内容に何を書くかということは決まっていません。子どもの実態に合わせて、変えていく必要があります。

週案を提出するときは、前の週のものも一緒に見てもらうと、次のような利点があります。
・ねらいと内容が、前の週と次の週で関連していることがよく分かる。
・ねらいと内容が、2週続けて同じものでも理由がすぐに分かる。
・読む方としては、理解しやすく、読むのに時間がかからない。
・前の週の見直しをしていることも伝わる。

長くなったので、一旦まとめます。
・週案を書くときには、前の週の週案を参考にする。(月案の時は前の月の月案)
・前の週の内容に関連した姿を、次の週の子どもの実態に書く。
・子どもの姿に合わせると、ねらいや内容が2週同じになることもある。
・子どもの姿に合わせて、前の週のねらいと内容に赤を入れれば、見直しにもなる。
・ねらいと内容に何を書くかは決まっていない。子どもの姿に合わせて変えていく。

この書き方をすると、週案のねらいと内容が、クラスの実態の記録にもなります。教育課程(幼稚園)、全体的な計画(保育所)の見直しをするときにも役に立ちますよ。

短期の指導計画になるほど詳しく表現する

指導計画は、教育課程や全体的な計画の、指導内容を具体化したものです。

年間指導計画、期の指導計画(期案)、月の指導計画(月案)が、長期の指導計画。みんなで協力して作成します。

週の指導計画(週案、週日案)、1日の指導計画(日案)が、短期の指導計画です。長期の指導計画を基に、学級担任が作成します。短期の指導計画の方が、より具体的です。

ということは、短期の指導計画ほど、状況を詳しく説明すれば良いのです。反対に、長期の指導計画を詳しくしすぎると、短期の指導計画をたてるときに困ります。

先ほどの例を、もう一回見てみましょう。今週の週案に書いたねらいの1つがこれです。
○自分の思いを出しながら、したい遊びを楽しむ。

今週の子どもの姿には、このねらいは、ちょっと合ってなかったはずです。(という設定で、話をしていました。)そこで、来週も同じねらいにしました。

2週続けて同じねらいにする他にも、良い方法があります。それが、「短期の指導計画になるほど詳しく表現する」ということです。

○自分の思いを出しながら、したい遊びを楽しむ。

実は、このねらいは、週案としては、もう少し具体的な方が良いと思います。詳しくするとしたら、次のように表現できます。

「どのような状況下で」ということを詳しくすると、
○保育者や仲の良い友達と一緒にいる中で、自分の思いを出しながら、したい遊びを楽しむ。

どんな友達と一緒にいるかで、思いが出しやすいかどうかが違いますよね。

「子ども自身の状況」を詳しくすると、
○思いを出しながら、自分のペースで、したい遊びを楽しむ。

自分のペースで、積極的に、存分に、など、遊びへの向かい方もいろいろあります。「自分のペースで」の方に「自分の」という言葉を入れたいので、「自分の思いを出しながら」の方からは「自分の」という言葉を取りました。

「遊びがどのようなものか」を詳しくすると、
○自分の思いを出しながら、気に入った遊びを楽しむ。

「したい遊び」だと、初めての遊びかもしれないし、遊び慣れたものかもしれません。気に入った遊び、好きな遊び、興味をもった遊び、など、これもいろいろです。

ここまでの説明が難しかった人は、伝わりやすい保育指導案の書き方【週案の「ねらい」と月案の「内容」の関係を読んでみてください。月案や週案の、「ねらい」、「内容」を、どれだけ具体的に書くのかが、分かりやすく書いてあります。

具体的な言葉を並べてみる

保育指導案を書くのに苦労している、実習生や、新任の先生も、じっくり話を聞いてみると、しっかりと子どもを見ていることが分かります。

そうでない場合もあるかもしれませんが・・・。

しっかりと子どもを見ているのに、うまく保育指導案を書けない場合は、単に、ボキャブラリー(語彙)が足りないのかもしれません。

「うまく表現できない」「ぴったりの言葉が見付からない」というときには、とにかくたくさんの言葉を並べてみるのも一つの方法です。

たとえば、「気の合った友達と一緒に遊ぶ楽しさを味わう」という「ねらい」があるとします。

気の合った友達」の部分は、「同じ場にいる友達」「側にいる友達」「同じ遊びをしている友達」「お気に入りの遊びが同じ友達」「保育者や周りにいる友達」などと言い換えることができます。

一緒に遊ぶ」の部分は、「側で遊ぶ」「一緒に行動する」「近くにいようとする」「気にかける」「優しくしようとする」などと言い換えることができます。

(一緒に)遊ぶ楽しさを味わう」の部分は、「(一緒に)遊ぼうとする」「(一緒に)いる心地よさを感じる」「同じことをしようとする」「同じものを使おうとする」「同じ言葉を言ったり動きを真似したりして楽しむ」などと言い換えることができます。

このように、一つの「ねらい」でも、言葉を少し言い換えただけで、何百通りにも表現することができます。

思うように書けないときは、伝わりやすい保育指導案の書き方【ボキャブラリー(語彙)を増やして適切に表現する】をチェックしてみてください。「友達との関わり」「秋の自然」など、項目毎に、たくさんの言葉を例として挙げてあります。

「保育指導案の書き方をもっと詳しく教えてよ」という人は、「保育塾ベーシック」についての詳しい内容を読んでみてください。「子どもの姿をどのように見るか」ということを中心に、記録の仕方、保育者の援助、ねらいと内容、要録など、1回10分程でできるプチワークショップを、メールでお届けします。

保育塾ベーシックの紹介

指導案や要録を実際に書き進めていく様子を見たり他の人の考えを聞いたりしたい方のために、
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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。「もっといろいろと知りたい」という方は、ホームページや、このサイトの記事が一覧になったサイトマップを、研修・ワークショップなどについて詳しくは「保育塾」の取り組みをご覧ください。

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保育塾代表
2人の娘の父親
公立幼稚園・幼保園・大学の附属幼稚園で勤務の後、保育塾を立ち上げる。
ラッパ吹き。小学生を中心に、20年以上いろんなバンドを指導しています。

保育士・幼稚園教諭のみなさんが、ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、プラスの循環が生まれます。

ほんの少しだけ余裕をもって仕事ができたら、ほんの少しだけ子どもが落ち着いて、そうするとまた、ほんの少しだけ余裕ができて、効率良く仕事ができる方法を調べたりして・・・

そんなプラスの循環の始めの一歩、小さな余裕を生み出すお手伝いをしています。あなたが読んだこの記事が、そんな始めの一歩になったら嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

管理人のUCHI(うち)といいます。 公立幼稚園、幼保園、大学の附属で働いていた元幼稚園教諭。 現在、島根保育塾代表。仕事を効率化するだけなら簡単です。しかし、保育の質を落とさず(むしろ上げながら)効率化することは、現場を経験した人間でないと、なかなか上手くできません。「保育の質を上げる」「労働時間の短縮」これを両立させるための記事を書いていきます。あなたの園に合わせた方法を知りたい人は、お問い合わせくださいね。