保育をしていると、分からない言葉がたくさん出てきますよね。
意味が分かったとしても、
「意味だけじゃなくて、具体的な使い方も知りたいな」
「この言葉との違いが分からないな」
ということがありませんか?
この記事では、保育用語辞典や普通の辞書には載っていない、言葉の違いや使い方、意味などを紹介しています。
難しく考えていたことが意外と簡単だったり、当然のように使っていた言葉が間違っていたりするものです。
読むだけでも役に立つので、とにかく目を通してみてください。
あ行
愛着(アタッチメント)・愛情
「愛着」
一般的に「この家に愛着がある」などとして使われます。幼稚園で勤務している人は、「飼っているウサギに愛着をもって」などと、一般的な意味として使うことがあります。しかし、心理学で言う「愛着」は、情緒的な結びつきのことです。未満児だと、一般的な意味より、心理学的な「愛着」を普通に使いますよね。Bowlbyが言う「愛着」は、不安やストレスを感じているときに、それを解消するために、誰かにくっつくことです。ということで、「愛着」にはネガティブな要素があります。
「愛情」
愛する気持ちです。「飼っているウサギに愛情をもって」の方が、誤解がないですね。「愛情までじゃないんだよね」ということであれば、「飼っているウサギを大事に思って」「飼っているウサギを可愛がって」くらいにしておきましょう。
一貫教育・連携
「一貫教育」
専門学校や大学では、単位が取れないと卒業できません。小学校でも、「小学校にいるうちに絶対に教えないといけない」ということがあります。小学校で絶対にしなければならないことを、「うちの学校は、中学校でやった方が効果があるし効率的だから、中学校でします。」と言えるのが一貫教育です。反対に、中学校の授業を先取りすることもあります。中高一貫でも、同様です。
「連携」
小学生が中学校の授業を見学する、行事を一緒にするなど、他校種同士で協力して行うのが連携です。
幼稚園・保育所の場合は、「これは絶対に幼稚園や保育所にいるうちにしなければならない」ということはありませんよね。「10の姿」も、絶対に到達しないといけない姿ではありません。
「幼保で絶対にしなければならないことを小学校でする」が無いということは、「保幼小一貫」というのは、「小学校の授業を先取りする」ということと、イコールになってしまいます。それはちょっとおかしいですよね。文部科学省も、「小中一貫」を推進していますが、幼小については、一貫という言葉すら出てきません。幼小は「接続」です。
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自治体によっては幼小一貫の動きもあるようですが、単純に、小中学校と同じように動いていくのは危険です。理念の一貫や、教職員の研修システムの一貫など、教育課程とは別の所にも目を向けましょう。
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受け入れる・受け止める
「受け入れる」
相手に同意して、相手の期待通りのものを与えることです。
事例「A君は、どうしてもこの箱を使いたいんだね。分かったよ。じゃあ、この箱を使って。」
「受け止める」
相手の気持ちを理解すること。理解できなくても、理解しようとすることです。
事例「A君は、どうしてもこの箱を使いたいんだね。気持ちはよく分かったよ。でも、この箱を取ると、Bちゃんが作った車が倒れるよね。」
子どもの気持ちを受け止めようとして使われる「そうなんだね。」という言葉は、子どもに通じていないことが多いです。「そう」が分からない子どもは、訳が分からず、「話を聞いてもらえていない」と感じてしまいます。大人同士でも、「ふーん。そうなんだ。」という返事は、話を聞いてもらえていない感じがしませんか?「そうなんだね。」ではなくて、「大きな声で言われたのが嫌だったんだね。」「外で遊びたいんだね。」「ピンクのスコップが欲しかったんだね。」などと、具体的に言いましょう。
援助・支援
「援助」
英語だと「assistance」です。アシスタント(assistant)というのは「助手」ですね。直接手伝うイメージです。
「支援」
英語だと「support」です。サポーター(supporter)というのは「支援者」「応援者」ですね。周りから応援しているイメージです。
「保育者の援助」を書くときに、「温かく見守って、どうしてもできないときには援助する」というように書くと、おかしなことになります。「適切なねらいの書き方」を紹介する記事を見付けて、読んでみたら、「子どもの姿をよく見て、適切にねらいを書く」とだけ書いてあったら、どう思いますか?「具体例は?!」ってなりますよね。
「保育者の援助」を書くときには、具体的に書きましょう。できれば、「援助する」とは違う言葉、たとえば、「手伝う」とか「手を貸す」にしましょう。「励ます」「応援する」「友達に聞いてみるよう促す」など、直接手を貸さない方法も、いろいろとありますよね。
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か行
カリキュラム・教育課程・全体的な計画(保育課程)
「カリキュラム」
教育課程、指導計画などで、目に見えるようにしてあるものに加え、「ヒドゥンカリキュラム(隠れたカリキュラム)」「潜在的カリキュラム」のような、明示されていないのに、教えられ、学んでいくようなものも含みます。
学校の雰囲気や環境なども合わせたものが「カリキュラム」と呼ばれています。「スタートカリキュラム」「年間カリキュラム」のように、「カリキュラム」をある一定の期間で区切ったものや、「食育カリキュラム」のように、カテゴリーで分けたものもカリキュラムです。
「教育課程・全体的な計画(保育課程)」
学校教育の内容を、系統立てて並べたもので、英語にするとカリキュラムです。でも、教育課程はカリキュラムより狭い意味として使われています。
小中学校の教育課程は、主に、教育目標、指導の重点と方針が書いてあり、教科や行事を何時間するかが記入してあります。幼稚園の教育課程や保育所の全体的な計画は、小中学校の教育課程とは別物です。園によって違いますが、主に、教育目標、発達の過程、ねらいと内容、行事などが書かれています。
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「保育課程」と「(保育所の)全体的な計画」と「(幼稚園の)全体的な計画」との違い
「全体的な計画」「保育課程」と「年間指導(保育)計画」の違い
「教育課程」「全体的な計画」と「年間指導(保育)計画」の違い
カリキュラム・マネジメント
カリキュラム・マネジメントをものすごく簡単に言うと、「教育課程に基づいて、教育活動の質を向上させること」です。その際、気を付けることがいろいろとあります。気を付けることがいろいろとあるので、難しい気もします。でも、今まで教育課程・保育課程の見直しをきちんとしてきた人たちは、特別にやり方を変える必要はありません。すでにやってきたことに、「カリキュラム・マネジメント」という名前がついただけだと考えましょう。
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感覚過敏
発達障がいを持つ子どもやHSP(HSC)の子どもに表れる症状。ちょっとした音や視線などを、ものすごく苦痛に感じる場合がある。
カンファレンス
「会議」「協議」のことです。主にビジネスや医療の分野で使われている言葉です。「同盟」「連盟」という意味もありますが、主にスポーツの分野で使われています。
ミーティングとの違いは、会議の規模です。カンファレンスは規模の大きいものもあり、数百人から数千人になることもあります。
保育の現場では、医療の分野で使われている「ケアカンファレンス」と同じように使われます。「ケアカンファレンス」とは「より良い医療サービスを提供できるための、数人での情報共有」です。
保育の現場で「カンファレンス」とは、「より良い保育を行うための、数人での情報共有」と言えるでしょう。「Aちゃんへの対応をどうするか、クラス担任とフリーの先生、主任が3人で集まって情報共有する」というのもカンファレンスです。
期
教育課程・保育課程に載っている「期」は、1年間の課程をいくつかに分けたものと、子どもの発達をいくつかに分けたものの、2通りがあります。「1学期」「2学期」「3学期」は、1年間の課程を3つに分けたものです。子どもの発達をいくつかに分けたものを説明すると、長くなり過ぎるので、詳しくは教育課程・保育課程の「期」とは【ちゃんとした意味を知っていますか?】をご覧ください。
共同・協同・協力
「共同」
同じような状態の人が、何かをするためにまとまること。
「協同」
力と心を合わせて、何かをするためにまとまること。
「協力」
力を合わせて何かをすること。
「共同」と「協同」は、「まとまっている」という状態を、「協力」は行為を表しています。
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「10の姿」(協同性)につながる具体的な姿を考えるヒント
経験・体験
「経験」
行動を通して実際に感じたり覚えたりすること。一般的、客観的
「体験」
身をもって感じること。個別的、主観的
体験というのは、実際の行為を通して感じたことを指します。それに対して、経験というのは、得られた知識や技能も含みます。経験の方が、使われる範囲が広いです。
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「体験」と「経験」の意味と違いー実は幼い子どもの方が○○するんです
個人の重点
個人の重点
1年間を振り返って、当該幼児の指導について特に重視してきた点を記入すること。
上の文の、「当該幼児」の部分が、保育所では「子ども」になり、こども園では「当該園児」となります。
「子ども」に統一しても、何の問題もないと思いますが・・・。
とにかく、「この子どもに対して、一番大事にしてきたこと」を書きます。
まとめ
この記事では、次の言葉を紹介しました。
あ行
- 愛着(アタッチメント)・愛情
- 一貫教育・連携
【10の姿】「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」のとらえ方と具体例
【WARNING!】保幼小連携や一貫教育で絶対にやってはいけない4つのこと - 受け入れる・受け止める
- 援助・支援
具体的な動きや声のかけ方が分かる「保育者の援助」の書き方
ブレない「保育者の援助」でレベルアップするための4つの視点
か行
- カリキュラム・教育課程・保育課程
幼稚園・保育所の「教育課程・保育過程」と「カリキュラム」の違いとは【小中学校とは違います】 - カリキュラム・マネジメント
【本当はみんな知っている】幼稚園・保育所のカリキュラム・マネジメントとは - 感覚過敏
HSP(HSC)の子どもへの具体的な配慮と接し方 - カンファレンス
- 期
教育課程・保育課程の「期」とは【ちゃんとした意味を知っていますか?】 - 共同・協同・協力
【それって本当に協力してる?】「共同」「協同」「協力」の違いと具体的な姿
「10の姿」(協同性)につながる具体的な姿を考えるヒント - 経験・体験
「体験」と「経験」の意味と違いー実は幼い子どもの方が○○するんです - 個人の重点
【指導要録・保育要録】1分で書ける「個人の重点」
とりあえず、今回は「あ行」「か行」だけです。
今後、さらに言葉を増やしていきます。
「こんな言葉について知りたい」というご希望があれば、「お問い合わせ」をしてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「もっといろいろと知りたい」という方は、